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いのです。冠動脈は血液を送り出す血管とは異なり、細いです。よっぽどのことと油断していては危険なのです。 冠動脈には、右冠動脈と左冠動脈があります。左冠動脈は分岐し、回旋枝、前下行枝と呼ばれ、この3本が主要な血管です。さらに主要な血管が分岐し、心筋の細胞全体に血液が行き渡るようになっています。 冠動脈は酸素を最も含んだ血管である大動脈の起点とつながっています。心臓は酸素が豊富な血液を全身に送ると共に自分にも届けているのです。 さて、右冠動脈や左冠動脈は、末端に向かってどんどん分岐していきますが、それらの先は他の血管とバイパスされていたりしません。つまり、どこか1カ所でも血管が詰まってしまうと、その先の心筋には一切血液が届かなくなり、酸素を供給されない心筋が壊死します。壊死した心筋は再生しません。 心筋への血液が足りない疾患を総称して虚血性心疾患と呼びます(35号特集参照、W EBで電子書籍を読めます)。血管が狭くなって生じるのが狭心症で、血管が完全に塞がれてしまうのが心筋梗塞です。治療では、薬物療法や、他の血管から血液が行くようバイパスを作ることもありますが、最近では詰まった血管を広げるカテーテル治療というのが多く行われています。バルーは動脈硬化が挙げられます。メタボリックシンドロームに注意し、血中コレステロールの量に留意した食生活と運動を心がけてください。 最近になって分かってきたのは、血管がだんだん狭くなって狭心症が徐々に進むケースばかりとは限らず、一気に悪くなることもあり油断できないということです。 動脈硬化によって血管の内膜が盛り上がっている状態をプラーク(粥腫)と言いますが、あまり大きくならないうちに(狭窄の割合が50%以下)プラークが急に破れて血栓ができ、狭心症を起こしたり、心筋梗塞に至ったりする場合もあることが分かってきたのです。 このような急性のリスクを回避するためにも、全身の血管だけでなく心臓の血管も日頃から意識したライフスタイルにして、休むことなく働いている心臓を労わりたいものです。 なお、今回の図書は、心臓のつくりが分かりやすく、図の多いものを紹介しています。ぜひご覧になってください。LOHASMEDICALVIEW毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。天野篤著誠文堂新光社 2013年川名正敏監修法研 2013年もっと知りたい方に本気で知りたい・治したい患者のための本最新よくわかる心臓病〜心筋梗塞・狭心症・不整脈・弁膜症・大動脈瘤〜スーパー図解狭心症・心筋梗塞安心の日々を送るための治療と知識ンやステントを詰まった箇所に運び、血管を拡張させて血流を回復させます。 狭心症の場合は冠動脈が急に激しく痙攣して一時的に血管が狭くなることもありますが、冠動脈が狭くなったり詰まったりする原因として一般に動脈硬化の予防を酸欠で心臓は壊死する