120号(2015年9月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年9月号です。


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4月から始まった機能性表示食品制度は、消費者を過保護にせず、自分で判断させようという趣旨なので、使いこなすには素地と努力が必要です、という話です。LOHASMEDICALVIEW今年4月から、食品の健康に対する機能(効果)が、商品ラベルに表示できるようになりました。対象商品も続々と登場してきていますが、消費者が知っておくべきことは何でしょうか。専任編集委員(米ミシガン大学大学院環境学修士) 堀米香奈子食品の健康機能表示国は責任を取らない 「このため企業は莫大な研究費用を投じる必要があって、健康機能を持つ食品でも採算が合わず、トクホ申請されていないことも多かったんですね」と、明治大学の石川幹人教授は言います。 もう一つ、栄養機能食品制度というものも、従来からありました。その食品を1日目安量だけ摂取した場合に、特定のビタミンやミネラルの量が国の定めた上限から下限までの間に納まる旨を表示できるもので、国の審査は不要です。ただし現在のところ表示できるのは、健康効果につい健機能食品制度の一つとして4月から始まった機能性表示食品制度。「お腹の調子を整える」「脂肪の吸収を穏やかにする」といった食品自体の健康機能を商品ラベルに表示できます。 これまで、食品自体の栄養機能について表示が許されるのは、やはり保健機能食品制度で定められた「特定保健用食品」(いわゆるトクホ)だけでした。トクホに認定されるには、健康効果と安全性について科学的根拠を添えて国の審査を受け、消費者庁長官の許可を受けることが必要です。保ての科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められたカルシウムなどミネラル類5種類と、葉酸などビタミン類12種類に限られています。 どちらの制度も、商品選択に必要な情報を提供すること以上に、消費者が騙されて不利益を被らないことの方が優先され、国が事前に規制をかける形となっています。 今回の機能性表示食品制度は、トクホの参入障壁と栄養機能食品の限定性を解消するという位置づけになっていますが、考え方自体も既存の2制度と異なります。「企業の責任において」、つまり国の許可なしで、製品の栄養機能を表示して構わないのです。 トクホのように国の審査を通過していると勘違いしてはいけません。何か問題が生じても国に責任をとってもらえるとは思わない方が無難です。制度の参考にされた米国のサプリメントに関する法律では、国の免責を製品ラベルに明示することが規定されています。消費者庁のサイトでも、「企業の責任」が強調されています。今回のお話は…表示は企業の責任


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