120号(2015年9月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年9月号です。


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はこやま・こうた●北海道大学医学部医学科4年生。2月に休学して、妊婦エプロンと一緒に世界一周放浪中。インド・バラナシで。左端がラホール、真ん中は妹さん。いたらダメだから! 一応赤ちゃんがいる設定だから!」 インドはバラナシにて、ジュース屋さんのお兄さんに妊婦体験をしてもらった時のことです。何を思ったのか筋骨隆々の彼は楽しそうに水の入っているエプロンを強打し続けます。僕がそれを止めている隙に、他のお兄さんがヒンドゥ語で書いた活動説明の紙に卑猥な落書きを⁝⁝。 インドに滞在した1カ月あまりは、まさに闘いの日々でした。ちょうど記録的な酷暑の時期で、デリーではアスファルトが溶けていたとか。ただ暑いだけでなく、インドでは旅人を狙った犯罪が多くあります。当初はそれを警戒するあまり、インド人不信に陥って、怖い顔をしていました。 しかし、色々な出会いを重ねる中で徐々に心がほどけ、自然と笑顔になっていきました。まず「インド人」と一括りにして決めつけるのがダメです。良い人も悪い人も(訳の分からない人も)とにかくたくさんいる国が、インドなのです! 冒頭のバラナシは、多くのインド人が信仰するヒンドゥ教の聖地です。ここを流れるガンジス川で沐浴することは、彼らにとって一番の夢。僕も挑戦してみることにしました。海パンを着て沐浴所に行ってみると、市民プールのように人々がはしゃいでいます。洗濯をしているお婆ちゃんもいました。 モジモジ様子を窺っていると、「早く来いよ!」みたいな雰囲気で、中のお兄さんたちが声をかけてきます。意を決して入ってみると、思っていたより汚くなくて臭いもしませんでした。ですが、川底に足がつくと有象無象がまとわりついてきて、一体下には何が沈んでいるのか、想像することすら怖かったのでした。 妊婦体験の勧誘は、沐浴所の近くの日陰で、涼みながら行いました。暑過ぎて、とても歩く気にはなれなかったのです。土産物屋さんに交じって、道行く人に声をかけていると、途中から英語の達者な少年が通訳をしてくれました。 ラホールという名の彼は、日本から来た僕に次々と自分の弟や妹を連れて来て見せてくれました。しかし、連れて来られるチビちゃんたちは皆迷惑そうで、その様子がとても愛らしかったです。 怖い顔ばかりはダメでした。最低限の防御策を携えてインドに身を投じるのです。すると、この国にしかない人の面白みに気づき、笑顔になれました。笑顔になると、活動もうまくいきました。インドは僕自身を映し出す鏡のような国でした。第4回灼熱の中で感じた「インド人」だけの面白さ箱山昂汰LOHASMEDICALVOICE「叩


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