ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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変化量(週)004812140.4-0.4-0.8-1.20.8*P<0.05***(MM)高濃度群低濃度群対照群高濃度群低濃度群対照群変化量0(週)048121410-10-20-30-4020*P<0.05(MM)**提供=株式会社ロッテ 研究室内の実験では、歯周病菌の増殖を抑制し、さらに歯垢を形成する酵素の活性も阻害する一方、口の中の細菌バランスを崩すことはなく、腸内細菌にもほとんど影響がないという面白い特徴を持っていました。 ユーカリはコアラが食べていることで有名ですが、人間も昔からハーブティーなどに使っており、物質の特徴と併せて考えると、口の中に入れても安全ではないかと考えられました。 問題は、ヒトが使った場合に同様の効果があるのか、そして本当に安全か、です。そこで、ガムに配合して実際に噛んでみてもらうという臨床研究を、大阪大学歯学研究科・予防歯科学教室の永田英樹准教授が行うことになりました。 臨床研究では、20〜40代で歯肉炎・軽度〜中等度の歯周炎のある男女30人強ずつを無作為に①マクロカルパールを高濃度で含むガムの群②同低濃度で含むガムの群③比較対照に普通のガムの群の3群に分け、毎日5分×5回のガム噛みを12週間継続、研究開始から4、8、12、14週目に、口の状況などを調べました。 その結果、①②は③と比較して有意に、歯垢堆積量が少なく、炎症が軽く、出血が少なく、歯周ポケットが小さくなっていました(図)。特に問題となるような副作用も見られませんでした。 永田准教授は、「ガムから溶出されたユーカリ抽出物が、歯肉炎や歯周炎の原因である歯垢の堆積を抑制することにより、歯肉の炎症を抑制した結果、歯周病の臨床指標に有意な差が見られたのでないか」と考察しました。既に学術論文として英文誌に投稿・掲載もされています。 永田准教授は「歯周病の予防に最も有効なのはブラッシングと専門家による定期的なメンテナンスですが、このように歯垢を抑制するチューインガムを使えば、より効率的な予防につながっていくのではないか、と考えています」と話しています。53群間における歯垢堆積量の変化の比較3群間における歯肉からの出血(BOP)部位数の変化の比較口内の状況が改善


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