ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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すが、医療費抑制を射程に入れてレセプトデータを活用する先が、保健事業ということには相当の違和感があります。もっと手っ取り早い使い道があるからです。 政府は、薬の飲み残しや重複を防ぎ年間数千億円の医療費削減に役立つという謳い文句で、患者の服薬状況を一元管理する「かかりつけ薬局」制度を来年度から導入すると言っています。 世間からの調剤薬局批判を交わすという文脈で出て来たアイデア(今月号の「梅村聡が斬る」参照)であることは考慮に入れる必要があるにせよ、データヘルス計画のことを知っていれば、なぜ「薬の重複整理」を薬局に求めるのかと思うはずです。 薬局は、患者が全面的に協力しない限り、服薬状況を一元管理することなど、できるシステムになっていません。そして、そもそも薬局には、薬の販売量を減らすことのメLOHASMEDICALVIEWリットがありません。 その点、保険者は違います。健康保険を使って薬を購入すれば、若干のタイムラグはあるにせよ、そのレセプトは必ず保険者の元に届きます。誰に重複投与が発生しているか、どの医療機関で発生しているか、保険者は確実に把握できるのです。レセプトデータを解析するのだったら、真っ先にそこを洗い出すべきではないのでしょうか。 その患者なり医療機関なりに対して警告を発し、場合によっては健康保険からの支払いを拒否する。これなら支払いが減るので、保険者にメリットがあります。何より、仮説がどうのこうのという難しい話はほとんど必要なく、すぐできます。 これが普通に行われるようになれば、漫然と重複投与してしまったら支払いを拒否されるかもしれないという緊張感も医療機関や薬局に生まれます。まさに保険者機能強化始めると百家争鳴状態になります。誰の言い分が正しいのか、現実のデータで検証しない限り、社会全体の納得は得られないことでしょう。 もしも、データヘルス計画実行を通じて健保組合が実力を蓄えていくならば、加入者の健康状態とレセプトとを紐づけて分析することができるようになり、医療行為が適切だったのか、費用に見合う効果はあったのか、という、現実に基づいた医療の費用対効果分析に道が開けます。 何を価値と見るのか、コストと見るのかについて、社会の合意がない段階で、「価値の高いサービスをより低コスト」で提供することなど、できるはずもありません。 健保組合の中にいる人が、面倒な仕事が増えたと考えてしまうのでなく、意義深い仕事に取り組んでいるのだと意気に感じられるよう、私たちも各健保組合の取り組みを応援していきたいものです。です。なぜそれをしないのか、正直理解に苦しみます。 とは言え、先ほども記したように、データヘルス計画は、やらないよりはマシです。 6月9日に厚生労働大臣の諮問機関が、2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため、として『保健医療2035提言書』なるものを公表しました。 その中に、「限られた財源をできる限り効果的・効率的に活用し、保健医療サービスから得られる価値の最大化を図ること、つまり、価値の高いサービスをより低コストで提供することが必要」との記述があります。 医療提供側がどう思うかは知りませんが、患者・社会の側からは諸手を挙げて賛成できる記述です。 ただ何をもって価値が高いというのか、コストが低いというのかは、具体的に議論し7価値とは、コストとは


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