ロハス・メディカルvol.123(2015年12月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年12月号です。


>> P.3

 「汗をかけば風邪が治る」と勘違いしている人もいますが、順序が逆です。ウイルスとの戦いにメドがついたから、汗と共に熱を放出しているのです。 実は、体内の水分が足りなくなると免疫の働きが落ちます。たとえ発汗がなくても、発熱や荒い呼吸で水分は失われがちです。通常は喉が渇くはずですが、症状が重篤だと渇きを感じないことがあります。過剰かなと思うくらい水分を摂るのが、とても大切なことです。汗が出るのは勝ちが見えてからLOHASMEDICALVIEWルギーを作り出したり、運動神経が筋肉を震えさせたりして、熱を生み出すようになります。 熱が上がっていく間、本人は、寒気がしてガタガタ震える、いわゆる悪寒がします。鳥肌が立ち、手足は冷たくなります。衣服や布団で体を保温しなければという意識が働きます。健康な時なら体温が上がれば汗をかくのに、汗はほとんど出てきません(コラム参照)。 このような反応が体中で一斉に起きるのは、ウイルスが熱に弱いからと勘違いしている人もいるかもしれませんが、ウイルスが弱るのは70℃以上。体内の温度が平熱の36〜37℃から40℃まで上がったところで大差ありません。そうではなくて、体温上昇は免疫細胞の働きを強めるため、と考えられています。 マクロファージという発見役の免疫細胞は38・5℃で、初動で働く攻撃役のNK細胞は37℃前後で、本格的な攻撃を行うT細胞は38〜40℃で、それぞれ最も強く働くことが知られています。3[図]ウイルス感染による風邪の発熱の仕組み体温上げて!ウイルスが体内へ白血球やマクロファージがウイルスを発見サイトカイン放出血流に乗って脳へサイトカイン視床下部(体温調節中枢)から全身へ指令プロスタグランジンE2生成発熱1.2.3.4.5.6.


<< | < | > | >>