ロハス・メディカルvol.123(2015年12月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年12月号です。


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してもらうことは難しくないのに、消費税導入当時に日本医師会などが医療の非課税扱いを強く主張したため、こんなワケの分からないことになってしまいました。課税扱いで税率0%だったら還付を受けるだけで済み、診療報酬を経由して補填を行う必要などなかったのです。 この不透明な仕組みによって、本来「払い過ぎた消費税」は自動的に金額が定まって還付されるはずなのに、厚労省の定める診療報酬によって増減することになりました。 そして、この「補填」が不充分な上に偏っていたため、これから医療需給逼迫が必至と見られている首都圏で、積極的に活動する大規模病院が軒並み経営危機に陥ってしまったのです。 まだ経営破綻する病院は出ていませんが、この構造を放置すると、税率が10%に上がる際には確実に潰れる病院が出ます。り課税仕入れ額の3%分だけ支払いが増えたということになります。 元々、特に都会の大きな病院では、売上に対する利益率が1〜2%と極めて小さくなっていました。支払いが増えた分に見合うだけ、収入が増えなければ経営の危機です。 通常の課税業種であれば増えた消費税3%分をお客さんに払ってもらえば収入も増えるのですが、医療は公定価格の上に消費税非課税ですから機械的に3%余計にもらうわけにいきません(図参照)。そこで厚生労働省は、医療機関の支出が増えるのに見合う分だけ、診療報酬を増やして(公定価格を値上げして)補填した、と主張しています。 受け取った消費税額と支払った消費税額の差額を納付・還付するという課税業種と比べると、随分と回りくどい仕組みです。医療機関も帳簿は当然付けているのですから、払った消費税分を正確に還付医療の場合患者医療機関?円官厚生労働省保険者仕入れ先?円??円消費税総額診療報酬への上乗せ診療報酬への上乗せX円保険料の一部消費税総額X円※となっているのは、正確な金額が分からないためX円?19


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