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こ課税業種に変更解決へ唯一の道きたとしても、問題は残ります。日本医師会が主張していたように業界全体で消費税の払い過ぎが発生していたのなら、税率0%で課税業種に変更すると、医療界が「払い過ぎていた」分だけ、今度は消費税税収に欠損が生じることになります。その欠損分を誰かが埋めなければなりません。普通に考えれば、医療の中で収支を合わせてくれという話になって、税率0%は許されず何%かの課税となる可能性があります。 今まで非課税だったものに対して何%かの消費税がかかるようになると、それは「医療には消費税がかからない」という国民の認識とズレることになります。現場では、大変な混乱が起きることでしょう。そもそも欠損分の穴埋めに税率何%が適正なのかすら、補填分の「見える化」が済まないと分かりません。 補填分の厳密な「見える化」は不可能で、となると客観的 これまで消費税分が上乗せされていた(ことになっている)診療報酬を、その分下げないと、還付してもらえることになる分だけ医療界が丸儲け、言葉を換えると国民全体が損をします。 ところが、今回の上乗せ分を返上するのは簡単でも、その前の分となると、1989年の消費税導入時に診療報酬で補填した時から全医療行為均等ではなく大雑把な項目への上乗せだった上に、税率引き上げがあった際にも大雑把に対応して、その間に診療報酬の項目自体が大きく変わったため、今どこに上乗せ分が存在するのか誰にも分からないのです。 もしたとえ診療報酬への上乗せ分をキレイに全部返上での消費税を払い過ぎて病院の経営が苦しくなっている問題、理屈の上だけなら解決の方法は簡単です。 医療を課税業種へ変更した上で税率0%ということにすれば、医療に消費税がかからない一方で、医療機関は課税仕入れに払った消費税を還付してもらえることになり、払い過ぎることも、儲かることもなくなります。 税の趣旨から言っても極めて真っ当な変更で、税率0%が妥当かどうかはともかく、課税業種へ変更することへの異論は多くありません。また、税率10%への引き上げが行われる前に何とかしなければならないという機運も高まっています。ただし、実行しようとすると難題が待っています。に適正な税率の決定も不可能。万人が納得する正解はないということになります。そして正解がないから、と放っておくと、基幹的医療機関が潰れます。 どう考えても、どこかで政治決着が必要になることでしょう。政治家が勇気を持って火中の栗を拾うため、国民の理解と支持は大切です。 理解の第一歩は、現状を正しく認識することです。そもそも医療に消費税がかからないって、本当でしょうか? 現状の図を再掲します。よく見てください。診療報酬へ上乗せされているという時点で、実は患者も医療に対して消費税を払わされています。また、診療報酬財源の半分以上は健康保険の保険料です。それで補填しているということは、健康保険の保険料にコッソリ消費税がかかっていた、ということに他なりません。22今でもコッソリ課税