ロハス・メディカルvol.123(2015年12月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年12月号です。


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第27回を定めていたなら、1人だけで管理できる程度の業務量で済むはずがないし、他の職員に分からないということも起こりようがないので、裏を返せば規格は業者に丸投げだったということなのでしょう。だからこそ、どの業者が何をできて何をできないのか、どの業者の誰に連絡すればよいのかという非公式情報を持った彼が省内で圧倒的な情報強者になれたのだと思います。 この、規格を定めず丸投げするというのは、厚労行政周辺で行われてきたシステム開発の特徴です。マイナンバーシステムに限らず、電子カル 10月にマイナンバーシステムを巡る収賄の容疑で厚生労働省の室長補佐が逮捕・起訴された事件を、ご記憶でしょうか。 ニュースに接し、元厚労政務官として、あんな目立つ職員が省内にいたのかと驚きました。と同時に、異常だとも思いました。 国民全体をカバーする超巨大なシステムを扱う部署なのに、彼1人がいないだけで何も進まない状態だったというのはどう考えても異常です。 国として責任を持って規格テシステムもしかり、健康保険組合にやらせているデータヘルスシステムしかり、すべて大きな方針と規制だけ定めて、後は民間に任せてきました。 民間に任せると当座は公費を節約できますし、創意工夫も活かせるので、良いことのように感じるかもしれません。でも実際に起きていることは、様々な規格が乱立した揚げ句の、各業者による情報囲い込みと、乗り換えや相互接続の際の無駄な費用の発生です。その費用は元を辿れば税金や社会保険料という公費で、節約できたように見えた分と比較にならないくらい大きな金額になっているはずです。 たとえるなら、東名高速道路を建設するという方針だけ決めて、どこにどのような道路を造るかは業者に任せた結果、それぞれの道路で使えるタイヤやETCが違う、イうめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。医療が消費税の非課税業種になっているため、大きな病院がいくつも経営危機に陥っています(今号特集ご参照ください)。最も現実的でシンプルな解決策は、まず病院だけ消費税の課税業種に転換することです。軽減税率は適用しない方が良いと思います。医療の消費税問題解決へまず病院を課税業種に規格丸投げ、業者大儲けLOHASMEDICALVIEWンターチェンジ毎にタイヤを履き替えないといけないのでガソリンスタンドが儲かって仕方ない、というような状況が今現在でも続いているのです。 物流が、そんな非合理な理由で高コストになっていたら政治問題化するはずですが、なぜか社会保障の情報流通が高コストになっている問題は、あまり問題になりません。我が国は、わざわざ情報処理の工程を発生させることでシステム事業者だけ儲かる仕組み、システム事業者に寄生される仕組みになっているのです。医療機関が経済的に疲弊し続24


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