ロハス・メディカルvol.123(2015年12月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年12月号です。


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いうことでした。税率が一つしかないから、手続きが簡便に済むのです。複数にした瞬間、その「消費」にその税率は正しいのか、という膨大な照合業務とコストが発生します。 消費税には、低所得者ほど相対的負担が重くなる逆進性がありますので、一定の配慮が必要ということには異論ありません。しかし、それこそマイナンバーで個人所得や希望する人の購買履歴を把握できるようになるのですから、個人や世帯全体の支払う税金の総額を調整する手段としては、マイナスの税額も含む所得税で構わないはずです。 医療に関する消費税の問題も、ある日突然基幹病院が潰れるという事態を防ぐために課税業種への転換は当然しなければならないとして、医療界は軽減税率を要求しない方が良いだろうと考えます。負担が重過ぎる個人への配慮は高額療養費制度のように別のける理由でもあります。 儲かったシステム事業者たちが、そのシステムを世界でも売って外貨を稼いでくれるなら救われますが、互換性のなさこそが彼らの収益源のため、世界標準には絶対なれません。 そういう目で眺めてみると、消費税率引き上げの際に軽減税率を導入するか否かの検討が始まっていますが、複数税率にしたらシステム事業者は儲かるだろうな、それに見合うメリットを国民が果たして享受することはあるのかな、と感じます。 参議院議員時代に、O E CDやIMFといった国際機関で税務を扱う人たちと議論したことがあります。その時の話では、消費税に複数の税率があるのは好ましくない、税率を一本化することが望ましい、というのが国際税務のコンセンサスになりつつあると所でする、と割り切るべきです。 患者や保険者が知らずに消費税を負担させられ、医療に消費税はかかっていないと思い込んでいる現状から、課税転換した上に税率10%を適用するのは社会的影響が大き過ぎるというのであれば、次のような方法がシンプルで現実的です。 現在、控除対象外消費税のため経営危機になっているのは主に継続的な設備投資が必要な「病院」で、「診療所」に関しては当面は何とかなりそうだと思います。法律上、20床以上が「病院」、19床以下が「診療所」と明確に定義が分かれているので、税務上の扱いを分けることにも問題はありません。まずは「病院」だけ10%課税、「診療所」は現行のまま、と移行するのが良いと思います。厚生労働省は「『病院』と『診療所』とで税務上の扱いを分けることは不可能だ」と言っているそうですが、それは「詭弁」です。 病院に行ったら10%消費税がかかりますよ、診療所は当面そのままですよということであれば、そんなに分かりづらい話でもありませんし、病院と診療所の違いや役割分担に世の中の理解が深まることを期待でき、さらに不急の際にはまず診療所のかかりつけ医へ行く、という厚労省の地域包括ケアの大きな理念にもかないます。 とはいえ、この医療の消費税問題は、官僚の立場から見るとリスクばかり大きくて手柄になりそうもないことで、解決には政治の力が必要です。現在の私は残念ながら国政を離れておりますので、やる気のある国会議員にこのアイデアをお譲りします。読者の皆さんも、良い案とお感じになったら、地元選出の国会議員に働きかけてみて下さい。まず病院だけ課税転換軽減税率、誰が儲かるLOHASMEDICALVIEW25


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