ロハス・メディカルvol.124(2016年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年1月号です。


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天気の悪化とともに頭痛や関節痛、その他様々な体調不良を生じるのは、気のせいではなく気圧や温度の変化が原因。早めの予防策が大事、という話です。LOHASMEDICALVIEW「雨の降る日は古傷が痛むから分かる」「偏頭痛が出る」といった話、気のせいではなく、きちんと理由があると分かってきました。専任編集委員(米ミシガン大学大学院環境学修士) 堀米香奈子天候が変わると体調は悪くなるっていなかったこともあり、我が国では「気の持ちよう」「仮病じゃないの」などと周囲の無理解にまで苦しめられる理不尽な状況が続いてきました。最近ようやく、起きる仕組みが分かってきて、仮病の汚名を返上できるようになりました。 慶應義塾大学非常勤講師でミサワホーム健康保険組合保健師の舟久保恵美氏(医学博士)は、「世の中で気象病とされる症状のうち、科学的に仕組みが立証できているのは、天気痛と呼ばれる慢性痛の発症・悪化と、うつ症状です。候の変化に伴って出現したり悪化したりする体調不良は「気象病」と呼ばれます。 慢性痛(関節痛・リウマチ、神経痛、頭痛、歯痛など)の他、心血管疾患(脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症など)や血行障害(低血圧、肩こりなど)、喘息などの呼吸器症状、うつ病などの精神疾患、緑内障、めまいやメニエール病、倦怠感など、気象病は枚挙に暇がありません。 ただし、世界では後述するように市民権を得た考え方ですが、メカニズムがよく分か天それら以外にも、共通するメカニズムが背景にあるものは多いと見られています」と話します。 気象病について、ちまたでは「低気圧による膨張が原因」とする説も流布されています。気圧は、体が常に無意識のうちに耐えている「空気の圧力」で、低気圧の時は圧力が減っている状態なので、血管や関節を包んでいる関節包など体内の柔らかい部分が膨張し周囲の血管や神経を圧迫するため痛みが出る、という説です。 しかし、舟久保氏は「関節などは筋肉や様々な組織で覆われ抑えられた状態にありますから、日常の気圧変化だけで、それほどに膨れたり縮んだりするとは考えづらいです。低気圧自体を原因とすることに根拠は全くありません」と一蹴します。 誤った噂が広まったきっかけの一つとして、以前あるテレビ番組で別分野の有識者が「専門家」として紹介され、そのようなコメントをしていたことがあったそうです。本人はあくまで憶測レベルの話として言及したのかもしれま6今回のお話は…問題は変化だった


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