ロハス・メディカルvol.124(2016年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年1月号です。


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トの実験で確認されています。寒冷前線通過時を想定して30分間に温度を22℃から15℃まで低下させたところ、痛み行動が観察されました。 ただし交感神経を除去したラットでも同様の条件で行動が見られたことから、気温低下の場合は、交感神経の興奮以外にも、直接的に皮膚にある痛みの受容器を刺激すると考えられています。人の感覚は、身の安全を守るため、冷た過ぎるものに触ると思わず「痛い」と感じてしまうように出来ているのですが、そのことと関連があると見られます。 そのためか、温度低下による痛みは、気圧低下による痛みとは現れ方に違いがありました。気圧による影響の場合は、気圧が下がり始めるとすぐ痛みが強まり始めたのに対し、気温低下の場合は低温に晒され始めてから時間をおいて痛みが現れました。気圧気圧低気圧時の痛み度数痛み度数経過時間010203040501020100098096094092090001000200300400500600(分)(HPA)気圧を変化させない場合LOHASMEDICALVIEW象病のメカニズムが明らかになってきたことから、予防したり和らげたりする手段も分かるようになりました。 気圧変化で起きる天気痛などには、「市販の酔い止めが効きます」と舟久保氏。 「乗り物酔いは、内耳からの情報と目など他の器官からの情報にズレが生じて脳が混乱し、それが自律神経を興奮させて起きると考えられています。酔い止め薬は内耳の血流を改善して興奮を鎮める効果があります」 ただしいったん神経が興奮して症状が出てしまってからでは遅いので、ちょっとした予兆を感じたらすぐ服用する必要があると言います。症状緩和に酔い止め薬気 温度変化による影響については、寒さ対策を心がけるしかありません。着る物や室温など気圧変化に対応するより調節はしやすいですが、こちらも症状が出る前に先手先手で動くことが大切です。 こうしたニーズもあってか、気象病について解明する学問「生気象学」のパイオニアであるドイツでは、花粉症など季節ごとに特徴的な疾患と合わせて約20疾患の疫学的・統計的な発症リスクが、天気予報と同じように新聞やテレビ、インターネットなどで日々配信されるようになっているそうです。(左図) 「我が国でも、例えば熱中症も気象病の一つで、熱中症予報はかなり前から出されて出典:佐藤純「天気変化と痛み」,A-NETVOL.15NO.1,2011低気圧による痛み度数の変化8


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