ロハス・メディカルvol.124(2016年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年1月号です。


>> P.12

シーズンはノロウイルスの大流行が警戒されています。新型が現れたのです。新型は、これまでの検査方法では検出されにくく、ノロウイルスであるという判定が遅れてしまう懸念があります。大流行させないためにも、前もってノロウイルスに対する知識を持ち、予防だけでなく、二次感染を防ぐ対策もしっかりと行うことが大切です。 ノロウイルスは、球形に近い正二十面体で、カプシドと呼ばれるタンパク質の殻の中にRNAが1本入っているだけの簡単なつくりです。これが腸管の上皮細胞の中に入って増え、細胞を壊します。たった、10〜100個程度で感染し、激しい嘔吐や下痢をひき起こします。 感染を防ぐためには、感染ルートを知っておく必要があります。感染ルートの一つは食品です。カキなどの2枚貝 ここでちょっと理科の授業で教わった食物連鎖を思い出してください。カキはプランクトンを食べており、一緒に大量の海水を吸い込んでいます。そのカキをヒトが食べています。食べたヒトの体から排泄されたものは下水処理場を通り、河川や海水に流れ込みます。この時、排泄物の中にいたノロウイルスも一緒に流れていきます。 汚染された海水を吸い込んだカキは、中腸線と呼ばれるや水がノロウイルスに汚染されていて、それを摂取したことにより発症します。もう一つが、感染した人からの2次感染です。嘔吐物などの排泄物にあったノロウイルスが他の人の体に付着し、体内に入ってしまう場合です。一見この二つは異なるルートのように見えますが、どちらも感染した人の排泄物を経由している点では同じです。内臓にノロウイルスを蓄積・濃縮していきます。ノロウイルスはヒトの腸内でなら増殖できる一方カキでは増えません。しかし、感染性は保っていますので、ヒトの腸に戻ってきた時に再び悪さをします。 汚染されていない物を食べ、食品を充分に加熱すれば感染を予防することができます。しかし、意外と難しいのが、感染した人が出した排泄物からの2次感染を防止することです。充分な手洗いはもちろんのことですが、特に嘔吐物の処理を適切に行うことがカギとなります。 重要ポイントは、大きく三つあります。①体に付けないこと、②次亜塩素酸ナトリウムを使うこと、③舞い散るので乾燥させないようにすることです。 ①では、使い捨てのマスクやプラスチック手袋、あればエプロンを使ってください。今LOHASMEDICALVIEW薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第9回ノロに新型が出た正しく拡大防ごう12感染源は貝か人消毒には次亜塩素酸


<< | < | > | >>