ロハス・メディカルvol.125(2016年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年2月号です。


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笑う頻度が低い人は、自己評価による健康感が低い傾向にあります。笑うことが健康に繋がるかは未解明で、長期の追跡調査が必要、という話です。第9回LOHASMEDICALVIEW「笑う門には福来る」と言いますが、笑わない人ほど健康と縁遠いようです。専任編集委員(米ミシガン大学大学院環境学修士)堀米香奈子笑わない人ほど不健康康感の低さに正の関係があることを示したもの」としながらも、「少なくとも先行研究では、現在の健康感が将来の寿命を反映することが分かっています」と話します。要するに、今自分が健康だと感じているかどうかは、それだけで死亡の予測材料として機能するというのです。 なお、この数字は、社会参加状況や経済状態の影響を差し引いて調整してあります。社会参加が少なく社会経済状況が悪い人ほど、笑いの頻度や質は低い傾向が見られたためです。015年10月、笑いが高齢者の健康に関わっている可能性を示唆する研究が報告されました。全国の自治体の協力を得て65歳以上の高齢者約2万400人を対象とした調査の結果、笑う頻度が最も少ない人たちは、ほぼ毎日笑う人たちに比べて「健康感が低い」と自己評価する割合が、女性で約1・78倍、男性で1・54倍高いことが明らかになったのです。 論文の著者の一人、東京大学大学院医学系研究科の近藤尚己准教授は、「この研究は、あくまで笑う頻度の低さと健 近藤准教授は、「一般に、収入が多かったり人との交流が多かったりするほど笑う機会や頻度に恵まれます。そこを調整しなければ、単に高収入でコミュニティ参加に積極的な人ほど健康、という結論になってしまいます」と説明します。 また分析は、学歴や長く従事していた職業で参加者を分類した上で行われました。「社会的地位は健康リテラシーに直結する傾向があります。自らの得た健康情報をきちんと理解して役立てられるかどうかで、笑いとは別のところ関係を示す一つの事実と考えられます。 これまでにも、笑いと健康や疾病についての研究は少なからず行われてきました。 笑いの身体的な効果として、関節リウマチの改善、免疫細胞(NK細胞)の活性化、アトピー性皮膚炎の改善、自律神経系への影響、食後血糖値の上昇抑制などが報告されています。ただしいずれも調査対象者数が多くても30人未満、少ないと10人以下で、さらに笑いを引き出す手段がお笑いで健康状態に違いが出る可能性があるのです」 うつ状態(気分の落ち込み)についても、分析に調整が加えられました。うつも笑いとは別に、それだけで健康感を下げてしまっていたからです。 そうした調整を経て導き出された、先の数字は、より純粋に笑いと健康の4今回のお話は…健康効果は未解明


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