ロハス・メディカルvol.125(2016年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年2月号です。


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LOHASMEDICALVIEW化学及血清療法研究所(以下化血研)が承認書と異なる手順で血漿分画製剤を生産し、その隠蔽を続けていた問題には、衝撃を受けた方も多いことでしょう。なぜ化血研は違法と知りながら隠し続けたのか、その周辺事情を探っていくうち、単純な勧善懲悪論では済まされない、危うい構造が隠れていると分かってきました。化血研不正で分かった血液製剤の危うい構造しているわけではないという点です。 では一体誰が作り出したのか? それは血液を提供した人たち、その遺伝子なのです。 私たちの血液の中には、遺伝子によって作られた生理的働きを持つ様々なタンパク質が、雑多に存在します。病気やケガで、自らはそのタンパク質を作れないか、自ら作る量では足りないという時に、他人が作ったタンパク質で補う、それが血漿分画製剤の役割です。 化血研などの国内メーカーがやっているのは、献血由来の血漿に含まれる有象無象の混合体から、必要とされるタンパク質を純度高く抽出するという工程に過ぎません。 そして、このことから当然分かるように、メーカーは、原料の血漿からある有効成分を抽出した残りから別の有効成分を抽出し、そのまた残りからさらに別の有効成分を抽出し、そのまた残りから⁝⁝という連続の工程で複数の製剤を抽出しています。この流れのことを「連産」と呼びます。連産できる各製剤の量の比は、元々血液に含まれていた有効成分の割合を反映して、ほぼ一定になります。 ここまでが、これからの話を理解していただくための基礎知識です。 さて、化血研の第三者委員会報告書には『「自分たちは血漿分画製剤の専門家であり、当局よりも血漿分画製剤のことを良く知っている。」、「製造方法を改善しているのだから、当局を少々ごまかしても、大きな問題はない。」という「研究者としてのおごり」』があったと書かれています。 監督官庁で生殺与奪の力を持っているはずの厚生労働省に対して驕りを持てるとは不思議な話だと思わないでしょ まず、最初に用語を説明してしまうと、血液から赤血球、白血球、血小板を取り除いた残りの部分が血漿です。 で、化血研が製造していた血漿分画製剤というものは、普通の医薬品と少し性格が異なることを知っていただく必要があります。 何が違うかというと、製剤の有効成分を、メーカーである化血研が化学合成で作り出本誌編集発行人 川口恭血漿分画製剤とは何か「国内自給」という国策16


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