ロハス・メディカルvol.125(2016年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年2月号です。


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第29回多かれ少なかれ言えることですが、あちら立てればこちらが立たぬというような規制があって、普段は守らなくても問題にされないのだけれど、それで良いのかと行政に確認したり、あるいは事件事故が起きたりした瞬間に処罰が発動されるということ、皆さんも身の周りで思い当たらないでしょうか。 厚労省の体質が今回の事件に影響したポイントは二つあります。 まず、行政に確認すること まず大前提として、化血研を擁護するつもりは、毛頭ありません。彼らのしてきたことが、患者さんや国民に対する許されざる背信行為であることは疑いもない事実です。 ただ、その上で、この問題の原因を化血研だけに求め厳しく処分したとしても、また同じようなことが繰り返されるに違いない、と思うのです。 化血研に不正を隠し続けるに至らせた監督官庁としての厚生労働省の体質が、何も変わらないままになりそうだからです。 厚労省に限らず行政全般にの恐ろしさ、です。訊かなければ何も起きなかったのに、訊いたばっかりにヒドイ目に遭う、のです。 こんな例がありました。某県で、ある民間病院が県道を挟んだ反対側に別の医療センターを作りました。道が基準幅より太ければ別の医療機関として県知事へ届け出る必要があったのですが、そこは基準以下だったので分院としての届け出で済みました。ところが、県が拡幅工事を行った結果、2施設間の県道の幅が基準を超えてしまいました。お分かりのように、病院側は何も悪いことをしていません。でも、念のためと県へ問い合わせたら、別の医療機関としての届出を再度させられたというのです。他の部署とは言え自分たち(県)が原因を作ったにもかかわらず、事情の斟酌は一切なかったそうです。相手が監督機関でなかったら、損害うめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。「化学及血清療法研究所」(以下化血研)が承認書と異なる手順で血液製剤を生産し、その隠蔽を続けていた問題は、ある意味、厚労省の体質が生んだ事件でもあります。厚労省が自らの体質を直さず、化血研の処分というトカゲの尻尾切りだけで済ませるなら、いずれ同じようなことが再発するでしょう。化血研問題は厚労省の問題トカゲの尻尾切りで済ますな訊いたが最後LOHASMEDICALVIEW賠償の請求を検討してもおかしくない事例だと思います。 今回の化血研の件も、もし厚労省に相談したら、すぐに全部、いったん生産を止めて製造変更を申請しろとなったに違いありません。でも、それができるくらいなら、偽装などする必要もないのです。 製造変更が認められると、それまでに国家検定を通過した製品か、製造変更承認日以降に生産を開始した製品でないと出荷できなくなります。生産開始から国家検定終了まで9カ月近くかかります。その間に商品を欠品させると、20


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