ロハス・メディカルvol.125(2016年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年2月号です。


>> P.24

はこやま・こうた●北海道大学医学部医学科4年生。2月に休学して、妊婦エプロンと一緒に世界一周放浪中。スラムの中は、ところどころゴミの川が流れていました。ニアの首都ナイロビは、東アフリカ諸国の中心的都市である一方で、治安が悪いことでも有名です。ネットで下調べをすると怖いエピソードが次から次へと目に留まり、到着前夜は、銃を突きつけられているイメージが頭から離れず、なかなか寝つけませんでした。 しかし、案ずるより産むがやすし。アフリカ随一に発展していることもあって、出歩く時間帯と場所を間違えなければ買い物に便利で、何より人々がフレンドリーで楽しい。もし犯罪に巻き込まれたら、それに出くわすことになった自分がまず悪いのだと肝に銘じ、細心の注意を払って街を探検しました。 この街には、アフリカ最大規模と言われるキベラスラムがあります。ナイロビ人口の過半数とも言われている1 0 0万人以上の人が暮らすその地域では、貧困から犯罪に手を出してしまう人もおり、何が起こっても不思議ではありません。外国人が一人で行くのは論外で、信頼できるガイドに案内してもらいました。 高級住宅街やきれいなモールからバスでたった10分、そんな近所にキベラ地区は広がっていました。土づくりの粗末な家の間を狭い道が迷路のように入り組んでいて、地面にはゴミが散らばりヌメヌメ。妊婦体験ジャケットで歩くのは、なかなか大変でした。 「ここに住む人は政府に見放されたと思って恨んでいる」とガイドが言っていました。しかし、歩けば歩くほど、問題意識みたいなものはなくなっていきました。劣悪な環境であるのは間違いないのですが、そこに住む人たちは本当に気持ちの良い人ばかり。子どもたちはキラキラとした目でハウ・んな場所でも笑って受け容れている人がいました。どこにでも幸せの種は落ちていて、それを見つけられるかどうかに、貧しさと闘う秘訣があるのかもしれません。 一方で、スラムから再び都心に戻って立ち並ぶ高層ビルを見た時、ふと歪いびつさを感じて気持ち悪くなりました。同じ街の中で差が大き過ぎて、個人では乗り越えることのできない貧富の境界が、どっしりと横たわっているような気がしました。犯罪に走ってしまう人たちの気持ちも分かるように思えてなりませんでした。第9回スラムで見つけた貧しさと笑顔箱山昂汰LOHASMEDICALVOICEケアー・ユー? と挨拶をしてくれて、大人たちも大笑いしながら妊婦体験をしてくれました。まさに「楽しい地獄」でした。 これまでアフリカを縦断してきて、「こんな暮らしをしているのか⁝⁝」と思うことも多かったのですが、ど24


<< | < | > | >>