ロハス・メディカルvol.137(2017年2月号)

ロハス・メディカル2017年2月号です。睡眠と免疫の関係、水晶体とオートファジー、体幹トレーニング、血管の傷みが分かる検査、亀田総合病院事件、小松秀樹、がん対策基本法の狙い、オプジーボの光と影9など


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みがうまく働かなかった結果です。 睡眠は免疫を高める効果があるとして、古くから注目されてきました。ドイツで最近行われた研究は、免疫を司る主な細胞の数が睡眠によってどのように変わるかを詳しく調べました。 健康な若い男性14名が2つの実験条件を受けました。1回目は20時から翌日の20時まで実験室に滞在し、23時から翌7時までの間は睡眠をとりました。2回目は同じ時間の滞在でありながら、夜間に睡眠をとりませんでした。徹夜の間は背もたれを立たせたベはインフルエンザが流行します。数年前、インフルエンザに初めてかかり、とてもつらい思いをしました。幸いに薬がよく効いてすぐに平熱に戻りましたが、まともに起きていられませんでした。ほぼ一日中、横になりながら、結局、仕事を1週間休みました。 ウイルスや細菌など病原体は私たちを毎日攻撃しています。であっても、病気にならないのは身体を守る仕組み(免疫)があるからです。私のインフルエンザのように病気で倒れてしまうのは病原体との戦いに負けて、この仕組の間に一貫して約15%多くなりました。個別の細胞についても、そのほとんどでおよそ15%増えることが分かりました。 これらの結果から、睡眠をとらないで夜中に起きていると、身体を守るための大切な細胞を「浪費」することになると言えます。夜中であっても起きていれば、何らかの病原体に触れる機会が増えるでしょう。それをあたかも予想するかのように、身体は準備するのかもしれません。 逆に、睡眠をしっかりとることは身体に侵入する病原体に立ち向かう「兵隊」を休ませるという意味になります。そうなれば、いざという時のために兵力を温存できて有利です。 健康を守るために、睡眠中にはこうした工程が意識することなく進むのは本当に驚くべきことです。寒い冬だけでなく、睡眠の機会を確保するよう、心掛けたいものです。第72回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長高橋正也ッドの上で音楽を聴いたり、テレビを見たりしました。 2つの条件は少なくとも4週間の間隔をおき、半数の参加者は睡眠あり条件から、残りの半数は睡眠なし条件から始めました。採血を実験開始時に1回、23時から8時の間は1時間半ごと、それ以降は3時間ごとに行いました。冬 血液には白血球が含まれています。その中のリンパ球には免疫の要となる2つの細胞があります。一つは体内に入った病原体の情報を基に、他の細胞に攻撃を命ずる細胞(司令役)です。もう一つは病原体を直接に殺傷する細胞(攻撃役)です。それぞれの細胞は異なる働きを持つ複数の細胞から構成されるので、このドイツの研究では全体の細胞数と個別の細胞数を共に検討しました。 睡眠をとった時に比べて、とらなかった時では司令役の細胞、攻撃役の細胞いずれも全体の数は2時から7時まで3LOHASMEDICALVOICE


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