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エコー(超音波)画像で動脈硬化の進行を診る方法もあります。首に機器を当て、頸動脈の血管壁の厚さ(IMT、内膜中膜複合体厚)や血管内に脂肪性の沈着物(プラーク)が蓄積していないか調べます。 IMTの正常値は1.0MM以下とされ、1.1MM以上だと異常に厚くなった状態と診断されます。心血管疾患リスクに関して「頸部血管超音波検査ガイドライン」では、総頸動脈のIMTが1.2MM以上で予後不良としています。 ただし、IMTの0.1MM単位の変化量を見極め、追跡していくのは技術的に困難です。また、従来の動脈硬化リスク因子にIMTを追加する意義もはっきりしていません。エコー検査は限定的の他の長期研究の結果から、BAPWVについて、●18M/秒心血管疾患発症リスクが高まる目安●14M/秒高血圧のリスク上昇など、生活習慣の改善が推奨される血管リスクレベルとしています。BAPWVが1M/秒上昇すると、心血管疾患発症が12%増加するとの報告もあります。 ただし、PWV検査が有用性を発揮するのは、血管が硬くなってきたものの、まだ狭まってはいない「機能変化」の段階。例えば透析患者でも、機能変化の段階ではPWV値が高いほど死亡率が高くなる一方、それ以上進行して「形態変化」に至ると、死亡率との関係性は充分と言えません。 PWVの代わりにCAVI(心臓足首血管指数)が使われることもあります。心臓から足首までの動脈全体の弾力性を表すもので、PWVとの一番の違いは、測定時の血圧に依存しないこと。血圧の影響を計算で調整するため、脈波速度に加え、両上腕と両足首の血圧の計測も必要です。 ただ、「CAVIのように血圧の影響を調整して排除する考え方をよしとするか、むしろ血圧は必要な要素として含めて考えるPWVかで、議論が分かれます」と岡本医師は解説します。 脚の動脈の狭まりや詰まり具合を表す指標がABI(足関節上腕血圧比)です。PWVの計測機器が両上腕と両足首の血圧も同時に測定し、算出します。 本来、寝た体勢だとやや高くなる足首の血圧が、血管が詰まり気味だと上腕の血圧より低くなる現象が起きます。そこで上腕と足首の血圧の比(足首の最高血圧÷上腕の最高血圧)を求めれば、血管の状態を知ることができるのです。 先のガイドラインでは、ABI値が1・0をやや上回っていれば正常で、●0・90以下太い動脈の狭まり・詰まりを示唆。●0・91∼0・99心血管疾患リスクの境界線。●1・40より高値動脈の高度石灰化が疑われる。としています。 ただし、ここで「正常」と言っても、形態変化が少ないだけで、実際には動脈硬化が始まって内皮細胞が損傷を受けている可能性はあります。 それを踏まえ、ABI測定の対象として意味があるのは、過去に心血管疾患を発症した人や、65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病、CKD、メタボリック症候群など、動脈硬化のリスク因子を持った人が想定されます。血圧補正のCAVI高リスク患者はABI