ロハス・メディカルvol.141(2017年6月号)

ロハス・メディカル2017年6月号です。「口から人生を豊かに」3回目は、歯痛の原因です。武井典子氏voice。新連載「健康情報しらべ隊」スタート。分煙では受動喫煙を防げない。梅村聡氏と井上清成氏の対談。記者が当事者になって気づいたことほか。


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LOHASMEDICALVIEWんよ、と言い出しているんですけど、1世代育てたものは、もう1世代後ろにいかないと、難しいですよ。やっぱり急には新しいタイプの人は出てこない。だから、患者さん目線を大事にするというのは、司法制度改革と一緒で医師養成改革をすることなんだなあということを、先生の話を聴いてすごく感じましたね。井上 お医者さんが偏在しているのか、不足しているのか、私は門外漢だからよく分かりませんけれど、弁護士なんかの経験で考えれば、まず増やしちゃえばいいのにな、と思います。というのが、面白いなと思うんですけど、司法制度改革の時は、弁護士の数が実際に増える前に偏在がなくなったんですね。法科大学院を作って増えるぞとなった時、弁護士たちがその前に予測して動いたからです。梅村 みんな市場経済を意識しているわけだ。井上 我々は、弁護士が地域に1人以下しかいない所を、0ゼロワン1地域って言うんです。最低でも2人いないと、原告側と被告側の代理人が揃わないから裁判ができないんです。この弁護過疎地域が何十年と解消できなかった。ところがロースクールになって弁護士を増やすぞ、と言った途端に、01地域あっという間に解消したんです。つまり、今スカスカだけど、これからここの地域に弁護士が来ちゃうから、今なら地域を取れるな、と。梅村 陣取り合戦だ。井上 そう。それで、それを予測するわけ。梅村 面白いですね、それ。井上 みんな専門家だし、ちゃんと考えているわけですよ。でも、他人には言わない。公言なんかしません。みんな考えて動きます、合理的に。これを神の見えざる手と呼ぶかはともかくとしましてね。政治とか役人とかはデータで議論しますよね。でもデータが出てからでは遅いわけ。人は厚労省に一番必要なのは何もしない勇気と忍耐力予測して動くから。梅村 そういう気持ちにさせたらいいわけですね。無理やり引っ張るんじゃなくて。井上 現実に、弁護士過疎地域があっという間に解消された。で、いよいよ弁護士が増え出しました。最終ゴールはさっき言ったような形ですが、一過性で必ず起こる現象が、今ある需要に対する供給過剰ですね。でも、それで誰が困ったのか、と。国民は誰も困ってないよね。弁護士が増えて誰か困ったか。困ったのは弁護士だけだから心配するな、と。だから医者も増やせばいいんだ、と。困るのは医者だけだから、大丈夫だ、なんて冗談を言って、弁護士からも医者からも嫌われてしまうわけですが。問題なのは、元々専門家は供給側として興味ある専門性しか供給したがらないことです。国民から真に需要される専門性を供給することこそが大切なんです。司法制度改革は、その一つのきっかけとなった例と言えます。梅村 確かにそうなんですよ。井上 刑事事件の国選弁護だって、昔は引き受け手がいなくて困ってたわけです。だから半分引退しているような高齢の弁護士が小遣い稼ぎでやってた。やる気だってありませんよね。でも、今は食い合いだから、若くてフットワークの軽い人たちが、どんどん担当するようになってます。国民にとっては利益が大きいですよね。梅村 司法制度改革は失敗じゃないぞ、と。井上 医療なんてものは、法律の世界以上に色々な需要が28


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