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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高血圧と仲良くしよう

時間帯や環境で、血圧は変化します。

 話が前後してしまいましたが、高リスク群でない本態性高血圧への対処は、生活習慣の改善から始まります。塩分の取りすぎなどの偏った食生活や運動不足、それに伴う肥満が血圧を上げるからです。
 運動不足は肥満の原因になると同時に、動脈硬化を進行させます。肥満が悪いのは、血流量が増えることと、その血を全身に回すため心臓が頑張らないといけないからです。交感神経も刺激されやすくなります。
 裏返すと、やった方がよいことが分かります。食塩の摂取制限、緑黄色野菜・果物をたくさん食べること、コレステロールの摂取制限、適正体重を維持すること、アルコールを控えめにすること、運動すること、禁煙などです。一つだけでなく、いくつも同時に行った方が、より効果が高いとされています。
 ただし何事もやりすぎは禁物。たとえば、腎臓の悪い人が生野菜を食べ過ぎると高カリウム血症を起こして命にかかわりますし、果物は食べ過ぎればカロリーオーバーします。運動もキツくしすぎると逆効果。散歩で結構ですから、毎日継続して行いましょう。
 この生活習慣の話、高齢者限定と思わないでください。青年層はもちろん、子供にも当てはまります。最近の子供は運動不足気味で、味つけが濃く脂肪分の多い食生活をしています。動脈硬化は子供の時から始まります。本人が将来高血圧で困らないように、周囲の大人が気を配ってあげたいところです。
 話を戻しまして、生活習慣を別の観点から重要視する考え方もあります。
 実は血圧というものは、一日の中で結構上がったり下がったりしています。正常と考えられているのは、就寝時の血圧が昼間より1割から2割下がる人です。冒頭の比喩で言えば、寝静まった深夜に道路補修をしているイメージでしょうか。
 ところが、生活の乱れからか、夜になっても血圧がほとんど下がらない、あるいは、むしろ上がってしまう人がいます。こうした人たちは、重大な疾患をひき起こしやすいとの研究報告があります。
 また、朝起きた途端に血圧が急上昇するタイプの人もリスクが高いことが知られています。このタイプの場合、昼間の血圧だけで安心していると大変なことになる(「仮面高血圧」ともいいます)ので、起きぬけに降圧薬が効くように投薬するのが一般的です。
 こうした時間帯と血圧との関係は、外来診療だけでは分かりづらいものです。このため最近重要視されているのが、患者本人が自宅で朝晩など定期的に測定する「家庭血圧」というもの。
 血圧はストレスで上下するため、医療機関で測ると日常とかけ離れた数値が出てしまう人もいます。「白衣高血圧」という言葉があるくらいです。
 高血圧が怖いのは日常の中でジワジワ進行していくことですから、日常と異なる数値を測っても、あまり意味がありません。こうした人々も「家庭血圧」を測れば日常の数値を把握できます。

家庭で血圧を測る時のポイント。  家庭で血圧を測る場合、例えば起床後と就寝前のように毎日同じ時間帯に行った方が何かと有用です。日によって時間帯が異なると、異変が起きているのか、それとも日内変動なのかの区別がつきません。また測る姿勢によっても変動しますので、できれば椅子に座って測定してください。  注意が必要なのは、家庭では医療機関で測るより数値が若干低めに出ること。勘違いしてリスクを見落とさないように、正常値は前項の表より5mmHG低い135/85で考えます。  ちょっと動いたり緊張したりしただけでも変動しますので、測定は10分程度心静かに座った後にしましょう。これは医療機関で測るときも同じです。といっても、診察中は心を落ち着けるほどの時間はないはずですので、呼ばれるまでの間を有効活用しましょう。ただし、心を落ち着けるための一服は、血圧を上げるのでダメです。

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