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原因不明 もしかしてホルモンの病気
さて一方、ホルモンの分泌低下による問題も多くあります。原因の多くは、内分泌腺が炎症や腫瘍、放射線、手術、血管の障害、感染などにより破壊されるもの。食べ物や服用した薬によって内分泌組織の機能が抑制されることもあるので、注意が必要です。まれに、先天的に内分泌組織が欠けていたり、遺伝子の異常でホルモンが作られないケースも見られます。
ホルモン分泌低下による病気や症状もさまざまです。たとえば一部の糖尿病は、インスリンの分泌が低下することによるもの。また、典型例ともいえるのが、更年期障害(07年1月号参照)です。
更年期障害は、エストロゲンの分泌低下がもとで起こるさまざまな症状。エストロゲンは主に女性の卵巣で作られ、卵胞ホルモンあるいは女性ホルモンとも呼ばれていて、女性特有の体つきや体のリズムをつくりだします。加齢とともに卵巣の機能が衰えてその分泌が減ると、フィードバック調節のバランスが崩れて心身に不調をきたすのです。閉経を迎える50歳前後の10年くらいが更年期です。
更年期障害は自律神経の乱れによるものなので、検査でも病的な変化は発見されない場合が多く、自覚症状が中心。 気になる症状があったら婦人科、女性外来、更年期外来等を受診してみてください。
治療の基本は「ホルモン補充療法」。簡単に言ってしまえば足りないエストロゲンを補うことです。ただし副作用の報告もありますので、主治医と相談して判断は慎重に。
骨粗しょう症の原因にも
意外ながら、骨粗しょう症も分泌低下と関係があります。
骨粗しょう症は、骨の中の柱や壁が細く薄くなって弱くなり、骨折しやすくなるのもの。70歳を超えると約半分の人が、潜在的な患者になりますが、特に女性は50歳前後で急激にその数が増えるというのです。
というのも、実はエストロゲンには骨の溶け出しを防ぐ役割もあり、分泌低下が骨密度の低下に直結しています。
とはいえ骨粗しょう症には、体質や遺伝、ビタミンDやカルシウムの不足も大きく関わっています。人間は最も多くの骨量を20歳までに得て、その骨量を40代半ばまで維持して生活していますので、20歳のピーク時にどれだけ多くの骨量があったかがとても重要。子どもを持つご家庭では、小・中・高校生の頃から骨の健康を考えて生活習慣を見直していくことが大切でしょう