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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

神経痛 うーん、まいった!

「痛い」のしくみ。

 ここで、痛みが走るメカニズムを確認しましょう。先ほど末梢神経を電話線にたとえましたが、本物の電話線がビニールなど電気を通さない物質で覆われているように、神経も鞘に包まれています。しかし、その鞘が薄かったりなかったりする部分もあり、そこが炎症や外傷などで不用意に圧迫されたり刺激されたりすると、体は異常事態と判断して警笛信号を激しく脳に送るのです。これが、耐えがたい痛みの正体。痛む部位が決まっているのは、分かれた先の神経が支配する範囲に限られているためです。
 また、神経痛と判断する材料にもなるのが、痛みを誘発する「圧痛点」の存在。体のある点を触れたり押したり、またときに熱い・冷たいなどの刺激によっても、激烈な痛みを生じます。神経痛の発信源を含む末梢神経が、体の表面近くを走っているためです。
 たとえば顔に痛みが走る「三叉神経痛」では、圧痛点はくちびるの端、小鼻の横、鼻の下のみぞ、頬、歯ぐきや舌などにあります。胸や背中が痛む「肋間神経痛」では、背中の肋骨に沿ったところや腹筋の上に。おしりから足全体に痛みが出る「坐骨神経痛」では、腰を中心に上は胸、下はつま先までありえます。

医療機関での診断の流れ

 医療機関を受診すると、まず問診、視診、触診、そして各種検査を経て、ようやく診断という流れになります。
 触診は、患者の体の動きを観察する動的触診と、触って筋肉などの様子を見る静的触診があります。これらは、体をひねったり曲げたり、刺激したりして詳細に調べる整形外科学的検査や神経学的検査と並び、医師の熟練を要します。こうしたアナログ的な検査が、今なお非常に有用なのです。
 もちろん正確な診断のためには複数の検査を組み合わせて行うことが必要。最終的に、血液検査で感染症の有無を確認したり、レントゲンやMRI他の画像診断などによって裏づけを得ることは必須です。
 症候性神経痛の場合、これらの検査で痛みのほかにも、ふるえ、しびれ、筋肉の萎縮などの症状がみられることがあります。特発性神経痛の場合は、麻痺がないかどうかや筋肉の運動、反射といった末梢神経の機能を調べても、痛み以外の症状はみられません。
 また、どの部位でも水疱が出た後に痛みが消えないというかたちで引き起こされる神経痛があります。これはヘルペスウィルスによる帯状疱疹後神経痛と考えられます。大きな病院では
総合診療科も増えていますので、自分で判断する前にそちらで相談することをお勧めします。
 さて、体じゅうに危険が潜む神経痛、次頁からは先に挙げた代表的な3種類を、具体的に見ていきましょう。

肩こり・腰痛と神経痛  肩こりや腰痛と神経痛は、痛む部位が同じだったり、整形外科や整体、ひいては鍼灸など治療が同じだったりと、かなり共通点がみられます。でも、肩こりや腰痛は通常、筋肉の緊張からくる痛み。一方、神経痛は神経が刺激された痛み。性質がまったく違うのです。治療が一緒なのは、根本治療が難しく対症療法にならざるをえないことが多いからです(次項参照)。


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