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神経痛 うーん、まいった!
根本的な疾患が別にある症候性神経痛の代表は、肋間神経痛と坐骨神経痛です。
肋間神経痛は、背中や胸の激しい痛みが特徴。肋間神経は背骨(脊髄)から出て、文字通り肋骨の間を走っており、多くはそのどこかに発生します。ただし胸や腹部にも広がっていて、胸が痛んで狭心症などの心臓病かと青くなったり、わき腹に出て別の病気を心配したりと、不安になりやすい疾患です。
原因はやはり神経の外からの圧迫。椎間板ヘルニアや、筋肉や骨の腫瘍、内出血のかたまりのほか、高齢者は背骨の圧迫骨折も引きがねに。
症状としては、まず背中の痛みとして感じる人が多く、体をひねったり、痛みのないほうに体を曲げて肋間神経を伸ばすと、刺すように痛みます。また、背骨をたたくと痛みが肋骨あたりに響きます。
通常は整形外科を受診すれば、ひととおりの検査が可能です。ただ外傷や思い当たるきっかけもなく動かさなくても痛いなら、感染症など内科的な疾患の疑いもあります。胸がしめつけられる感じや息苦さがある場合は、呼吸器疾患や狭心症などの循環器疾患の可能性も。さらにストレスも原因となるため、心療内科や精神科も検討の余地があります。
坐骨神経痛は、「坐骨」と名前がついていますが、坐骨神経の通っているおしりから太もも・ひざの後ろ、すねの外側、足首まで、足全体が範囲。やはり多くは片足のみで、体の屈伸により強まります。ひどいときは歩くのも困難に。
主な原因は年齢によって異なり、若い人はさほど患者も多くないのですが、腰椎間板ヘルニアなどがもとになることが多いようです。一方、高齢者では老化で腰の骨が変形する疾患に多く見られます。このほか脊髄や骨盤の中にできた腫瘍から発症することも。麻痺や脱力などがある場合は、脳疾患も考慮しなければなりません。
人によっては一生の付き合いも
肋間神経痛はいったん発症すると完治は難しく、一生涯つきあっていく人がほとんどと言われます。坐骨神経痛も、原因となる病気の完治が難しければ同じことです。
その場合は病院での治療も、現状より悪化しないよう手を打つ保存療法(対症療法)が中心になります。痛み止めの内服薬や筋弛緩剤、座薬などの薬物療法、ホットパックなどの温熱療法、牽引治療などの理学療法、神経ブロック注射などが行われます。場合によっては手術も考えられますが、一度で完治しないのであれば、主治医と十分に相談を重ねてください。
以上、詳しく見てきた3種類に限らず、神経痛を放置しても命の危険はありません。それでも人によっては強い痛みとの長いつきあいになり、精神的な苦痛も大きいもの。うつ状態になる人も珍しくないようです。耐えがたい痛みはぜひ、的確な治療による一刻も早い改善をお勧めします。また、毎日の生活では、心身ともにリラックスすることが大切。入浴、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠を心がけましょう。