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昔も今も医食同源 栄養の過剰と欠乏
ビタミン・ミネラルにも過剰あり
さて、過剰が起きやすいエネルギー源の3栄養素に対して、ビタミン、ミネラルは依然として過剰より不足の方が問題になりがちな栄養素です。ただ過剰が問題になるものもあるので、先に説明してしまいます。
ちなみに、ビタミンとミネラルの違いは、ビタミンが有機化合物(炭素を含む色々な元素の合体したもの)であるのに対して、ミネラルは直訳すると鉱物となることで分かるように基本的に単一の元素からなる無機物です。
ミネラルの中で最も過剰が問題なのは、ナトリウム(食塩)です。和食は栄養バランスが良いという話を聞いたこともあるのではないでしょうか。しかし一つだけ欠点があって、それが塩分過多です。人間は塩を1日2~3グラム摂取すれば十分に生きられるという説もある中で、日本人男性の平均摂取量は約12グラム(=07年国民健康・栄養調査)。10年からの『日本人の食事摂取基準』目標では男性で9グラム未満、女性で7.5グラム未満にしましょうと言われています。
「敵に塩を送る」という言葉があったり、「サラリー(俸給)」の語源が「塩」だったりすることからも分かるように、塩が貴重品という国・地域も少なくありませんでしたから、海に囲まれた島国ならではの悩みと言えます。
ナトリウムは、細胞から血管中に水分を引っ張り込んで血流量を増やす作用があります。喉の渇きを覚えさせて水分の摂取も促します。これは血圧を上げることになり、高血圧から動脈硬化へとつながります。また心臓に負担をかけます。
ただし摂取したナトリウムがずっと体内に留まるということはなく、腎臓から尿に混ざって排泄されます。生野菜や果物に多く含まれるカリウムはナトリウムの排泄を促す作用があるので、ナトリウムと同量取るように心がけるとよいでしょう。ただし、腎臓の機能が低下している場合、カリウムが腎臓に負担をかけるので、カリウムもナトリウムも必要最低限まで減らす必要があります。また果物の場合は糖質も同時に入ってきます。自分勝手に判断せず、医師・栄養士に相談しましょう。
過剰に気をつけたいミネラルとして、肉や魚卵などに特に多く含まれるリンも挙げられます。過剰に摂取すると、副甲状腺ホルモン障害、腎障害などが起きるほか、大切なカルシウムやマグネシウムの吸収が阻害されたりします。
ビタミンの場合、水に溶けるものと脂に溶けるものとがあります。脂に溶けるものは脂肪の中に取り込まれて体に蓄積するので、過剰にならないよう注意が必要です。水に溶けるものは、食事だけだと不足がの方が心配ですが、サプリメントなどを取ると過剰も起こり得ます。ビタミン類の過不足が起こす問題は表を参照ください。