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統合失調症 患者も誤解も多いんです。


完治不能な病ではありません。

 統合失調症は、突然に顕著な症状が出て始まることもあれば、数日から数週間かけて徐々に症状が強く出始めることもあります。また、症状が出ていないときは普段と変わらない生活を送る人もいるため、本人や周りが全く気付かず、何年かしてようやく分かることもあるようです。
 それでも多くの場合は、しだいに仕事、対人関係、日常生活に支障が出てきてしまいます。気づいたらいち早く精神科を受診しましょう。
 というのも、統合失調症は適切な薬物療法によって症状の管理・緩和ができる病気だからです。順調にいけば、日常生活や他の活動にも比較的集中できるようになったり、周囲が異常に気になる等の感覚が薄れ、リラックスして日々過ごせるようになってきます。
 ただし、症状は治療を始めてから少しずつ緩和されていきますので、回復兆候が現われるには数週間から数カ月を要します。さらに症状が落ち着いてきた休息期や回復期からが長丁場です。 研究では、20~30年後の時点で、全体の20~30%が快復または社会的治癒に至っています。そう聞くとちょっと気が遠くなる人もいるかもしれませんが、軽症(症状はあるが日常生活に支障ない程度)を保っている人も25~30%、あわせれば、統合失調症と診断された人のおよそ半数は社会生活を問題なく営むことができるようになっているのです。
 さらに近年では、新しい薬剤が登場したことや、薬物療法のみならずリハビリテーションプログラムなどの心理社会的療法が充実してきたことが功を奏し、早い段階から社会生活を十分に楽しめる人がいっそう増えています。

がんばらない、けど あきらめない

 上の言葉、どこかで聞いたことがあるかもしれません。ですが、統合失調症治療の合言葉にもぴったりなのです。
 統合失調症は、切り傷のように、目に見えて回復していく病気ではありません。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、じわじわ改善していくものです。
 重要なのは回復期。とくに長期にわたるところですが、何年かかったとしても、ゆったり気長に、「がんばらない」ように、やれることを焦らず増やしていくことです。逆に、「目に見えて改善したから」と自己判断で薬をやめると再発する場合も。主治医が「薬を休んでみましょう」と判断するまでは、服薬を続けることが肝心です。「まだ治らない」と不安がるより、規則正しい生活、薬の正しい服用、適度な運動を、「あきらめない」で心がけることが順調な回復への鍵なんですね。
 そして何より、長期の治療には家族や周囲の理解と協力が不可欠です。「早く治って欲しい」と願うのは当然のことですが、患者以上に家族が焦って感情的になると、患者本人もプレッシャーを感じるもの。それがストレスとなり、かえって回復を遅らせてしまうことも珍しくありません。ぜひ長い目で見守っていってください。
 「そうはいっても、思いや気持ちを一人や家族内では抱え切れない」ということもあるでしょう。そういうときは、担当医はもちろん、患者や家族を支援する団体や保健所や精神保健福祉センターなど地域の機関に相談してみることをお勧めします。本人だけでなく、周囲の人も、自分たちだけで「がんばらない」こと。だけど、「あきらめない」ことが、本人を回復へ導くというわけです。

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