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胃腸がおかしい! この病気かも。

腸の場合も炎症の主犯は微生物

 同じ器質性の消化管疾患でも、小腸・大腸になると様相がだいぶ変わってきます。胃から遠くなるに従って酸性が弱まり、様々な微生物が生息できるようになるからです。管の口径が細くなって詰まりやすくなったりもします。
23-1.1.JPG 腸管に障害を与える最も大きな原因も微生物です。ただし、元々すみ着いているものが悪さをするというよりは、偶然侵入してきたものが暴れるというのが圧倒的。特に梅雨時から夏場にかけてのこの時期は、要注意です。
 一般的に微生物が悪影響を与える仕組みは、腸壁の細胞に侵入して細胞そのものを破壊するか、作り出す毒素が細胞から水や電解質の分泌を促すかです。いずれの場合も腹痛と下痢が起き、下血や嘔吐をする場合もあります。
 こういった悪さをする微生物には多くの種類があります(表参照)。ほとんどの場合、微生物に汚染された食物や飲料水に触れることで感染します。熱に弱いものが多いので、手洗いを励行すると同時に、感染の危険がある地域・状況では飲食物をよく加熱するなど、予防を心がけることが大切です。
 これらの治療は、可能であれば原因微生物を叩き、あとは水分と電解質を十分に補給して安静にし、自然に回復するのを待つことになります。
 このほか薬剤や化学物質による影響で胃腸が壊れることもよくあります(コラム参照)。
 微生物や薬剤のような直接的原因がないのに激しい下痢や腹痛があるとなると、原因不明の難病である「クローン病」か「潰瘍性大腸炎」の可能性があります。
 クローン病は、数日から数週間出血を伴う下痢や腹痛が続き、治療しなくても一時的に治まることもありますが、不規則に同様の発作を繰り返します。免疫が過剰発動して消化管の細胞を攻撃してしまうと考えられており、炎症を起こした患部の壁が厚くなります。発作のきっかけや重症度を左右する要因は分かっていません。
 よく似た症状で、しかし炎症が大腸周辺だけにとどまり腸壁も厚くならないのが潰瘍性大腸炎です。これもやはり免疫の異常発動と考えられており、原因に関してもやはり不明です。
 この二つの場合、原因不明というのが大きな特徴ですので、診断するには、血液や便を調べたり、内視鏡で採取した細胞の検査をしたりして、他に炎症の原因がないことを確かめる必要があります。

薬でも、お腹は壊れます。  吐き気や嘔吐、下痢など胃腸に悪影響を与えるのは、薬の副作用として最も一般的なものです。このような副作用が出るものとして、すでに説明済みの消炎鎮痛剤以外に抗生物質や抗がん剤などがよく知られています。  抗生物質の場合、そのものが胃腸細胞を傷つけるのではなく、腸内の細菌を大量に殺した結果、胃腸炎の原因になるような病原性細菌が増殖してしまうと考えられています。

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