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もはや国民病。腰痛
もちろん、老化現象というべき腰痛もあります。
腰が痛み、レントゲンを撮ったら腰椎にトゲのような骨の突起があった場合、変形性腰椎症の可能性が大。椎間板の老化が進んでクッション性が失われ、椎骨どうしがぶつかったりして「骨棘」と呼ばれるトゲができるのです。症状の出ない場合もありますが、悪い姿勢などを続けていると神経を刺激したり圧迫して、痛みが引き起こされます。骨棘の場所によっては脚にしびれが出たり、高齢者だと2~5日たってから痛むことも。
変形性腰椎症は腰部脊柱管狭窄症を伴うこともあります。脊柱管は背骨(椎骨)の中にある空間で、内部に脊髄や神経がかたく守られています。この脊柱管が骨や軟骨などの変形によって狭くなり、中の神経を圧迫して痛みを起こすのが脊柱管狭窄症。数分歩いただけで足がだるくなったりしびれたり、痛んだりし、座ってしばらく休むとまた歩けるようになるのが特徴で、結局、歩いては休んでを繰り返すことになります。負担軽減には、買い物車を押して歩くといいかもしれません。
いずれも治療は、痛み止め薬を使いながら、温熱療法やコルセット、腹筋・背筋等を強くする運動療法(腰痛体操など)を行うのが一般的。加えて脊柱管狭窄症の場合、神経の伝達を助けるビタミン剤を服用したり、神経に麻酔薬などを注射して痛みが脳に伝わらないようにする神経ブロックを用いたりします。重症だと手術も考えられます。
骨粗鬆症 日常生活から改善を
もうひとつ、老化と深くかかわるのが骨粗鬆症による圧迫骨折です。骨粗鬆症は、骨からカルシウム・リン・たんぱく質が減り、軽石のように骨がスカスカになってもろくなるもの。弱くなった椎骨は、重いものを持ったくらいでも圧迫骨折(上下からの圧迫で押しつぶされた状態)を起こします。圧迫骨折した椎骨の数が多いほど事態は深刻に。中の神経が圧迫されて激痛が走るのが、急性腰痛です。下肢の痛みや痺れを伴うこともあります。一方、ゆっくり進行すると、寝返りの時や朝起きた時、歩き始め・動き始め等に背骨や背骨の両側の筋肉が痛む慢性腰痛となります。
骨粗鬆症患者の約70%が、腰痛などの痛みで整形外科を受診しているといわれます。圧迫骨折については、運動療法と薬による骨粗鬆症の治療が同時に進められます。
骨粗鬆症対策に限らず、丈夫な骨を保つためにも、特に高齢者は一日に800ミリグラム以上のカルシウム摂取が勧められています。普段からカルシウムの多い食生活を心がけ、吸収を助けるビタミンDも同時に摂取するようにしましょう。そして、適度な運動を心がける一方、自分の体を過信しないこと。重すぎる荷物を運んだり、無理な姿勢をとり続けたりしないよう、意識を働かせてください。
喫煙で腰痛になる!? タバコの煙には、有害な化学物質が200種類以上含まれています。中でもニコチンは椎間板周囲の毛細血管を収縮させるため、栄養補給が不十分となって椎間板が変性してしまいます。ゆくゆくは、本文でご紹介している変形性腰痛症の危険性が。また、椎間板はコラーゲンでつくられ、コラーゲンはビタミンCにより産生が促進されます。しかし1日にタバコを1箱(20本)吸った場合、0.5gのビタミンCが失われてしまいます。喫煙を続けることで慢性的なビタミンC不足となり、椎間板の老化をさらに早めてしまうのです。