情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。
息が苦しい「喫煙肺病」COPD
COPDになるのは気管支や肺胞に炎症が起きるから、というのはご説明した通りです。その原因は、ごく一部の例外を除き長期の喫煙。たばこ病と言っても過言ではありません。一説によると、喫煙者の7人に1人が、いずれなるそうです。このため、肺の生活習慣病として捉えるのが一般的です。
喫煙が健康に悪いのは百も承知だとは思いますが、念のために説明しておくと、特に煙に含まれるニコチン、タール、一酸化炭素といった有害物質が気管支や肺胞を傷つけ炎症を引き起こします。ちなみに一酸化炭素の量は、たばこ1本に含まれるニコチンやタールの量とは関係なく、本数に比例します。だから低タール、低ニコチンのたばこにしたからといって、本数が増えるのなら、むしろ害が大きくなるのです。また自分は吸わなくても受動喫煙で同じ現象が起きることに、ご注意ください。
吐ける空気が少ない時は次の検査へ
前項に挙げたような自覚症状があり、かつ喫煙歴がある場合、まず肺機能の検査を行います。
スパイロメーターという機械を用いて、吐く息の量を測ります。最大限に息を吸えるだけ吸い、それを思い切り強く吐き出した空気の最大量「努力肺活量」と、最初の1秒間に吐き出せる空気の量「1秒量」を測定し、「1秒量」を「努力肺活量」で割った「1秒率」を算出します。この1秒率が70%未満だと、何か問題が起きているサイン。COPDの可能性があります。
この検査自体は特に苦痛もなく数分で済みます。また健康保険が適用されます。ですから喫煙歴の長い人は、まず受けてみてはいかがでしょう。呼吸器科を掲げている施設なら大抵可能です。
1秒率が70%未満だからといって原因がCOPDとは限りません。原因によって対処法が異なります。きちんと絞り込んでいく必要があります。このために動脈血の酸素濃度を測る検査、X線撮影、心電図検査、CT撮影などを行うことがあります。
思い立ったら禁煙外来 禁煙が難しいのは、たばこに含まれるニコチンへの中毒(身体的依存と言います)とたばこを吸うことが生活の一部になっていること(心理的依存と言います)とが絡まり合っていて、どちらか片方だけ対策をしても不十分だからです。きちんと禁煙するには、この両方への目配りが必要なのです。 素人の当事者が意思の力だけで何とかしようとしても失敗体験を積み重ねることになりかねません。第三者の専門家の助けを借りた方が無難です。幸い禁煙外来へ行けば、健康保険を使って医師のサポートを受けることができます。 喫煙は多くの疾病の危険性を高め、あなたのQOLをやがて損ないます。まだCOPDになっていない方も、この機会に禁煙してはいかがでしょう?