松澤佑次・住友病院院長インタビュー
松澤佑次 住友病院院長
――このたびは紫綬褒章受賞おめでとうございます。医療に携わる方々にとっても励みになることと思います。まずは受賞の感想からお聞かせください。
どんなところが評価されたのか分からないんですけれど、医学研究といえば免疫か遺伝子かという流れの中で、研究の中心には見られない身近な病気の臨床に長いこと取り組んできたこと、そして単なる臨床に留まらず生物学的に研究したこと、それが学問・サイエンスとして日の目を見たのは非常に良かったなあと思いますねえ。
我々が取り扱ってきた現代の生活習慣病というのは、エネルギーの過剰摂取と運動不足が原因になって、糖尿病、高脂血症、高血圧、そして血管疾患が引き起こされるというもので、基本的に昔はなかったものですね。ともすると、「そんなん食わんかったらエエんや」とか「日本人は大して太ってないじゃないか」と片づけられがちだったのです。
よく我々がたとえに使っているのが、文学にも純文学と大衆文学があるように、我々のやってきたのは非常に身近な大衆医学。みなの関心は非常に高いのだけれど、その解明は簡単なようで実は難しいことだったわけです。臨床をきちんとやった結果として、その分かりにくいことが最終的に分かっただけに達成感はあります。
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