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関節炎 リウマチって何?
知名度はかなり高いと思われるリウマチ。「うちのおばあちゃんがリウマチで......」なんて誰かが言っているイメージ、ピンとくるのではないでしょうか。ただ、昔は身体のあちこちが痛む症状を総じてリウマチと呼んでいました。今では違う病名のつくものも、おそらく十把一絡げにされていたのです。近年になって研究が進み、ようやくリウマチが確たる病名として認識されるようになったというわけです。
このリウマチ、正確には「関節リウマチ」といいます。関節の腫れや痛みを繰り返して、しだいに関節の変形が進み、日常生活の動作にも支障をきたすようになります。
一般に高齢者の病気という印象がありますが、実は間違い。働き盛りの30~40歳代での発病もめずらしくなく、患者数では60代が一番多くなっています。女性に多く、男性の約4倍。全国には70万~100万人の患者がいるとされ、15歳未満で発症することもあります(若年性リウマチ)。
関節リウマチについては、わかっていないことがたくさんあります。実は、原因もわかっていません。研究により明からになってきたのは、自己免疫疾患であることです。
原因不明の自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来は外から侵入してくる細菌やウイルスなどを攻撃して体を守るシステム(免疫)が、なんらかのきっかけで自分自身に対して反応するようになってしまい、その結果いろいろな症状が出る病気です。
私たちの体は、ウイルスや細菌などの異物(抗原)が侵入すると、白血球がいちはやく「抗体」という武器をつくって攻撃し、排除しようとします。ところが関節リウマチでは、関節の骨と骨の間にある軟骨を覆っている「滑膜」という薄い膜を、免疫システムがどういうわけか異物(抗原)とみなしてしまうらしいのです。抗体(リウマチ因子※)をつくり、滑膜とその周辺に攻撃を始めてしまいます。
滑膜には白血球などが集まり、滑膜の細胞そのものも増えます。そしてそこからさまざまな物質を分泌して周囲の組織を溶かし、侵食していきます。患部は熱をもったり腫れたり、外から見ても赤く、「炎症が起きている」という状態になります。
体内に異物が侵入したときはもちろん異物を排除するまで炎症反応が続くのですが、関節リウマチは自分の体の組織に反応しているので、際限がありません。しだいに進行していき、関節軟骨が破壊され、骨やじん帯まで侵されていきます。ついには関節が変形し、ひどいと寝たきりになる人も出てきてしまいます。
どうして免疫システムが暴走を始めてしまうかはわからないのですが、きっかけはいろいろ考えられています。ストレスや過労、感染症、出産などが報告されています。どの程度ひどくなるかも遺伝的な要素を含め、人それぞれのようです。
※リウマチ因子は、患者の8割にみられます。健康な人でも持っていたり、逆に因子を持たない患者もいますが、発病と密接な関係があると考えられています。