見逃さないで異変のサイン ~年間シリーズ 口から人生を豊かに⑤
歯茎の出血、歯周病かな
一世を風靡した歯磨き剤のCMでお馴染みのように、歯茎から血が出た時、真っ先に疑われるのが歯周病です。
汚れが歯と歯茎の間の歯周ポケットに溜まり、細菌が繁殖するようになると、それらと闘うため白血球が集まって毛細血管が拡張、歯茎が腫れます(炎症)。そして、ちょっとした刺激で出血するようになるのです。
この時、まずやってみるべきは、歯と歯茎の間の念入りな歯磨きです。さらに出血するので、むしろ歯磨きを控えたくなるのが人情ですが、歯石が付いていないような初期の段階で歯垢や細菌を除去できれば、出血は段々止まってきます。逆に歯垢を取り除かない限り炎症は消えず、出血も止まりません。
歯石が付いていたり、歯槽骨が溶けたりという段階まで進んでいると、歯磨きだけでは出血は落ち着きません。
なので、数日念入りに歯磨きしても出血が止まらないようなら、歯科を受診してください。
歯周検査でポケット把握
歯科医院は、まず「歯周検査」を行って、状態を把握します。
ポケットプローブという器具を歯と歯茎の間に差し込んで、歯周ポケットの深さが何ミリあるか調べると共に、歯肉から出血するかどうか、歯がグラグラしないか、歯茎の蔭の歯にどの程度の歯垢や歯石が付いているかを調べるものです。
同じ歯でも、場所によって状態が異なります。なので、簡単な検査なら歯1本あたり1カ所しか測りませんが、詳しく調べる場合は4カ所あるいは6カ所のポケットを測定します。この箇所数が多ければ多いほど精密に把握できる理屈で、あとは時間や患者の負担との兼ね合いです。
歯周検査は、歯周病を治療することになった場合、その効果を把握し、その後の方針を立てるため、その都度行われます。検査時はチクチクと痛かったり出血したりして不愉快かもしれませんが、治療がうまくいけば歯周ポケットは改善し、出血も少なくなります。
稀に他の原因も
出血の原因が歯周病ではないということも、稀にあります。
歯磨きの力が強過ぎて歯茎を傷つけていただけだった、もしくは別の病気や薬の副作用だった、といったことです。いずれの場合も、歯科医がその先の対応策を教えてくれるはずです。