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なぜ? どうして? 花粉症の謎。
既に花粉症になってしまった方にとって、治るかどうか、は大問題ですね。いきなり身も蓋もない結論で申し訳ありませんが、今の医療では完全には治せません。ただし症状が軽く済むようにコントロールすることは可能です。
前項でご説明したように、いったんIgEが作られてしまったら、以後はアレルゲンの花粉が入ってくるたびに半永久的にIgEが作られ、それが肥満細胞にはまり、「それ押し流せ」が始まります。どうしたらよいと思いますか?
根本的な解決をめざすアプローチ方法は3つです。①アレルゲンに近づかない。アレルゲンを寄せ付けない②・IgEを作り出す細胞を教育し直して、やめさせる③「押し流せ」を起こすシステムを撤去する、です。
①については、発症した皆さんも既にいろいろ工夫されていることと思います。ただし前項でも説明したように、アレルゲンが何なのかを確定させないと、見当外れの努力をすることになりかねませんので、気をつけてください。
アレルゲンが確定したら、主な花粉飛散の季節を確かめます。お金と時間に余裕があれば、その時期に「海外逃亡」する手がありますが、たいていの人はそんなわけにはいかないですよね。
花粉の時期は窓を開け放しにせず、日中(特にお昼時)の外出をできるだけ避けるのが賢いです。外出する場合も粘膜に花粉が触れないようマスクやゴーグルを使い、室内に入る前に衣服をよくはたき、手洗いとうがい、それから目の洗浄もしましょう。
マスクは、一つの高いものを使い続けるより、安いものをどんどん取り替えた方がよいです。また内側のガーゼを水に湿らせると効果が高くなります。女性の場合、化粧にくっついていることがあるので、洗顔が意外と効きます。また、花粉は重くて部屋の床にたまるので、こまめに掃除機をかけたりふき掃除をするのも大切です。
②は、①と逆にアレルゲンに体内でどんどん触れるようにして、免疫が鈍感になるようにします。具体的には花粉のエキスを注射します。これを1~2週間に1回ずつ増量しながら数カ月続け、一定量に達した後は、月に1回くらい数年間続けます。その効果はかなり優れており、花粉症の種々の症状が緩和され、症状が出ても軽い薬で改善できます。もし注射が面倒でなければ、試してみる価値は大いにあるといえます。
③としては、レーザーで鼻の粘膜を焼いてしまう手術があります。短期入院や外来で受けることも可能ですが、一度で済まずに何度か繰り返すことも多いようです。
3つの根治アプローチを説明してきましたが、これで完璧、というものはありませんので、対症療法も覚えておく必要があります。
鼻づまりがひどい場合は手術もあります 「入れるな、押し流せ」のうち「入れるな」担当の鼻づまりが特に強く出て、呼吸が苦しい人の場合、膨張して鼻の穴をふさぐ部分の肉を切り取ってしまう手術があります。花粉症の体質が治るわけではありませんが、呼吸は楽になります。手術を行うには、1週間程度の入院が必要になります。 「押し流せ」の鼻水・くしゃみの方が強い場合は、次のページで説明するような薬物療法で対処するのが一般的です。