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東洋医学を正しく理解しよう

賢いつきあい方は?

 最後は、いつものように東洋医学との賢いつきあい方を考えてみましょう。
 どんな分野についても言えることだと思いますが、歴史を経て残っているものが複数ある時、一個がすべての面で優れているということは通常あり得ません。何が何でも東洋とか西洋とか決めつけるのではなく、東洋医学、西洋医学それぞれの得意に応じた使い分けが肝心です。
 では、それぞれの得意とは、どういったことでしょうか。
 大前提になるのは、現代の日本では西洋医学が一般に普及しており、健康保険も西洋医学を前提に組み立てられていること。肉体的に見ても経済的に見ても、受診の入り口は西洋医学で構わないのではないでしょうか。そして西洋医学で対応できるものだったら、東洋医学に頼る必要はないでしょう。
 でも西洋医学ではどうもシックリ来ない、うまくいかない、相性が悪いという場合も出てくるはず。その場合、東洋医学を試してみる価値はあります。西洋医学的に検査をしっかりしたうえで、まずは保険の効く東洋医学から使い始めるのが賢明です。
 ただし注意してほしいのですが、東洋医学の診断(=治療)と西洋医学の病名とは、必ずしも対応していません。たとえば漢方薬の何がどう効いているか分からないのですから、この病気にはこの薬というような単純な生兵法は絶対にやめてください。使い方を誤れば命にだってかかわります。必ずその道の専門家を受診しましょう。
 また、やってみなければ効くか効かないか分からないということは、効果がなくて西洋医学に戻らざるを得ないかもしれないということです。主治医に無断で試すのは得策でありません。輸入漢方薬を独断で飲むなど、もってのほかです。
 ここまでは東洋医学と西洋医学とを完全に分離したものとして説明してきました。でも本当は、互いにいいとこ取りをしたって構わないはずですよね。既に医療の現場では、西洋医学と東洋医学を統合して、より良い医療を提供することが始まっています。それが、統合医療といわれているものです。
 たとえば、お腹のがんの手術後に漢方薬を用いると回復が早まり、合併症としての腸閉塞の発症を軽減するとか、抗がん剤の副作用を軽減するなど、いくつかの領域で両方をうまく使うと治療上のメリットがあると分かっています。
 東洋医学はいろいろな疾患に使えますので、一度主治医に相談してみてはいかがでしょうか。

ツボとは?  皆さん、ツボの存在はよくご存じでしょう。では、一体何かと問われると意外と困ってしまうのですが、関節のそばで体の内面の歪みが表面まで出てきたところという解釈が一般的のようです。  押すと痛みを感じるのは歪みがあるからで、歪みがなければ痛みもないというこの考え方は、生活実感からは納得しやすいですよね。そして、歪んだ部分に物理的に働きかけ、体の内部に影響を与えようとするのが鍼灸というわけです。  ちなみに生物の体には、恒常性維持機能(ホメオスターシス)といって、外力を無力化するように自ら動く性質があります。これが東洋医学で言うところの「自然治癒力を高める」の正体と考えられています。
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