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息が苦しい「喫煙肺病」COPD
呼吸の仕組みはこうなってます
人は、おぎゃーと生まれてから死ぬまで、ずっと呼吸をし続けます。呼吸とは、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出すること。命を維持するために不可欠なことも、皆さんよくご存じでしょう。でも、呼吸の仕組み、ちゃんとご存じですか?
体の中から順々に見ていきます。まず、細胞が生きていくには、有機物を分解してエネルギーを取り出す必要があります。その際、酸素が二酸化炭素に変化します。そのままだと二酸化炭素が溜まって酸素が足りなくなってしまうので、細胞は呼吸する必要があります。この呼吸のことを内呼吸と言います。
体の隅々の細胞まで酸素を運んで二酸化炭素を持ち返ってくるのは、血液の働きです。そのままだと血液中に二酸化炭素が溜まって酸素が足りなくなってしまうので、血液はどこかで二酸化炭素と酸素を交換する(気体どうしなので、ガス交換と言います)必要があります。
血液のガス交換が行われるのは肺です。そのままだと肺に二酸化炭素が溜まって酸素が足りなくなってしまうので、肺は鼻や口、気管を通じて外界との間で空気の出し入れをする必要があります。この空気の出し入れが、皆さんの普通イメージする呼吸です(外呼吸と言います)。
この一連の流れがすべて滞りなく進んだ時に初めて呼吸が成り立ちます。だから、実は心臓も呼吸に関して大事な役割を持っていること、お気づきでしょうか。心肺機能なんて言葉もありますよね。ただし今回の特集では、そこまで広げず主に外呼吸とその舞台である肺に焦点を当てます。
肺は、肋骨(あばら骨)、胸骨(胸の中央の骨)、胸椎骨(背骨)の3つに囲まれた胸郭という空間の中に、心臓や大血管、食道などと一緒に入っています(図)。
肺は、細い管が枝分かれした細気管支がたくさん集まってできています。細気管支の先は直径0.1mm程度の小さな袋が密集してブロッコリーのような構造になっています。この小さな袋のことを肺胞と言います。ガス交換が行われるのは、肺胞とその内部に張り巡らされた毛細血管との間です。肺胞側の空気の方が酸素濃度が高く二酸化炭素濃度が低い時、「拡散」という現象によって自然にガス交換が行われます(図)。ここがミソです。肺胞の数は、健康な成人で6億個近くにもなります。
肺は、自ら空気の出し入れを行うことができません。横隔膜が上がり下がりしたり肋間筋が縮んだりゆるんだりすることで胸郭の容積が変化し、狭まった時に空気を吐き出し、広がった時には空気が入ってくるようになっています。