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免疫きほんのき 2
免疫の主役は白血球で、太古の昔に食細胞から始まり、今では様々な免疫細胞に分化している、という話を前回しました。免疫細胞が自己と非自己を識別する方法は、大きく3パターンに分けられます。
初歩的な道具TLR
まず、原始的な性質を残している食細胞でも進化した免疫細胞でも必ず持っているのが、TLRという識別道具。多くの病原菌の細胞膜上に共通して存在する構造を判別します。ただしかなり大雑把で、例えば子供が落書きで「マルの中に目と鼻と口があって......」と円と直線で顔を描いてもそれなりに「ヒトの顔だな」と分かるように、「病原菌ならばまず持っている特定のパターン」を認識できる程度のものです。
それでもとにかく、例えば食細胞であれば、病原菌とおぼしき異物にくっついてTLRでチェックをかけ、病原菌がもつパターン構造を読み取れた場合は、「お、これは排除しなければ」と丸呑みにする、というわけです。
ちなみに、こうした「病原菌ならばまず持っている特定のパターン」を認識する道具は1種類ではありません。図のように、同じような類の道具を何種類も表面に持ち合わせ、病原菌のバリエーションに備えているのです。
ところで、ちょっと待ってください。「病原菌とおぼしき異物にくっついて」と書きましたが、くっつく・くっつかないはどうやって決まるのでしょうか?
実はこれがよく分かっていません。ただ、どうも細胞膜が重要な役割を果たしている様子。膜上には様々なたんぱく質が存在していて、それによって電気的にプラスかマイナスかに偏りが生じています。その組み合わせで、磁石のように引き合ったり反発したりもするようです。そして結果としてくっつく場合=食べる、となるように、うまくできているようなのです。一方、自己同士だと、くっつく要素と反発する要素を両方持ち合わせているために、つかず離れずの関係で維持されると考えられています。