小林一彦・臨床医ネット代表インタビュー
小林一彦 臨床医ネット代表
――臨床医ネットとは何ですか。
病院の勤務医同士がゆるやかに連携するネットワークです。若手勤務医は病棟を離れられないことが多いので、以前は現場で疑問を感じても、それを発信する術がなく非常に孤独な存在でした。しかし近年ネットが普及したことで、広く情報や意見を交換することが可能になりました。
――自然発生的に生まれたのですか?
勤務医同士で横の連携を取りたいと多くの人が潜在的に思っていたところに、昨年それを顕在化させるできごとがあり、誕生しました。
――と、言いますと?
昨年のゴールデンウイークに、NHKが2夜連続で「日本のがん医療を問う」という特番を放送しました。日本のがん医療が様々な問題を抱えていることは事実です。その意味で非常に有意義な番組でしたが、しかし、その論点設定がわれわれ勤務医の日々現場で感じている問題意識と若干異なると言いますか、かえって問題解決を遠ざけるように感じたのです。これは私の個人的意見ではなく、医師たちが参加する複数のメーリングリスト上で同時多発的に同じ声が出てきました。
勤務医は普段忙しいし、マスコミの論調にも余り期待をしていないので、これだけ多くの声が集まってくることは珍しいことでした。それだけNHKの番組が良くできていたし、それがゆえに勤務医の危機感も高まったということなんだろうと思います。
で、内輪だけで文句を言っていても仕方ないから、我々の意見をNHKに届けようということで立ち上げたのが臨床医ネットです。最終的に405人の署名を添えて、7月に意見書を提出しました。
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