認知症5 その他の原因
人格が変わる
まず、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と診断されている方の中に、実は相当数隠れているのでないか、と近年考えられるようになったのが、「前頭側頭型認知症」です。
アルツハイマー型認知症では主に脳の側頭葉内側や頭頂葉の萎縮が目立つのに対して、前頭葉や側頭葉前方の萎縮が目立つことから、そのように総称されるようになりました。
人柄が変わってしまうなど、表で説明するような特徴的症状が出てきて、しかし本人には病識がないため、本人が社会的に困難な立場へ追い込まれていくと共に、介護者も大変に苦労します。
前頭側頭型認知症で最も多いのは、以前はピック病と呼ばれていたもので、その他に前頭葉変性症と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の認知症(コラム参照)があります。この前頭側等型認知症に、意味性認知症と進行性非流暢性失語症を加えて前頭側頭葉変性症とも呼ばれています。
ほとんどの場合、65歳以下で発症します。性格の変化と社交性の消失が初期から現れ、記憶障害は目立ちません。発症頻度に男女差はないようです。症状はゆっくりと進行していき、最終的には寝たきり状態になります。
治療法は今のところなく、介護が中心となります。落ち着きのなさ、多動、徘徊などに対症療法として抗精神病薬を使うことがあります。場合によっては精神病院への入院を余儀なくされることもあります。
専門医でなければ、どの病気なのか見分けるのはほぼ不可能なので、もし表のような症状が続くようなら、早めに精神科や神経内科等の専門医を受診してください。
ALS認知症 ALSは、運動中枢の神経細胞が減ってしまう病気で、原因不明です。手足や舌、喉、呼吸を動かす筋肉が数カ月から数年の経過で衰えていきます。このALSに認知症が併発する事例もあります。現在のところ有効な治療法は確立されていません。