全国一律は大ウソ 保険医療に提供格差
紙時代の名残り
そもそも、診療報酬請求書(レセプト)が紙だった時代は、ブツの輸送・保管を考えると、多少の不公平はあるにせよ、都道府県支部で審査するのが費用対効果的に最も優れていたという可能性は高そうです。しかし今や、ほぼ電子化されました。都道府県支部ごとに審査しなければならない合理的な理由は、費用負担者たる国民の立場からは存在しません。
まして、被用者保険の社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、国保の国民健康保険連合会(国保連)という2つの審査支払機関を並立させる合理的な理由は、紙の時代から存在しませんでした(※1)。医療機関なり保険者が、どちらかを任意に選べるというのであれば、2組織による競争が起きて質の向上を見込めたかもしれませんが、そうではないので2系統ある分だけ医療機関や保険者の事務を煩雑にしています。また別々に審査することによって、同じ医師にかかっていても認められる医療行為の範囲や解釈が保険の種類によって異なることになり、そんな格差の存在に住民が気づいたら大騒ぎになっていても不思議はありませんでした。
このような不合理な仕組みが温存されてきたのは、保険間や都道府県間の差の存在に医療機関や保険者の一部は気づいていたものの、それが明らかに不合理な格差であると主張するほどの客観的な証拠を、外部から集めるのは極めて困難だったからです。結果として、国民がこの問題を知ることもなくここまで来ました。
※1 ただし、根拠法がそれぞれ異なるので、法的には2組織あるのが正しい。
ついに可視化