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病院の上手な使い方

「分かったふり」をしていませんか?

 いよいよ医師から診断を聞かされる時が来ました。病院に来てから随分時間が経ってしまっていますので、少々疲れてしまったかもしれませんが、ここからが最も大切です。今までは病気の原因を探ったたけで、何の治療もしていません。ここで決まる治療法が、今後の生活を左右します。自分の状況をきちんと理解して、納得いく結論を得るよう、ひと頑張りしましょう。
 医師は、診断を下し、治療方針を示します。よく勘違いする人がいますが、この方針は「提案」であって命令ではありません。決定権はあなた自身にあります。
 決定を下す前に質問しておきたいのが、「その治療をすると、どこまで治るか」の見通しです。完治するというなら、あまり問題はないですね。でも実は、高血圧や糖尿病のように完全に治ることは期待できず、適当なところで折り合いをつけないといけない病気が多いのです。
 悲観する必要はありません。そもそも、あなたが欲しいのは完璧な健康ではなくて、普段の生活に不便のない程度の健康ではないですか? どの辺で折り合いをつけるべきか、あなたが決めるしかない問題です。
 医師の側は、できるだけ完璧に近づけようと提案しがちです。「そこまで治療すると、かえって日常生活に支障が出る」と思ったら、遠慮なく「こういう生活をしたい」と伝えましょう。病状を悪化させない範囲で、医師も融通を利かせてくれるはずです。

チェックポイント

1、病名を正確に理解する。
 
 医師が言った病名、きちんと覚えましたか? うろ覚えだと、後で本やネットなどで調べようと思ってもできません。覚えられないと思ったら、医師に書いてもらいましょう。どんな症状が特徴で、今後どういうことが起こりうるのかも忘れずに尋ねましょう。

2、「どんな療法」を「どのくらいの期間」行うのか?

 一つの原因・症状の場合なら、あまり気にしなくても構いませんが、複合的な要因が絡んでいる場合、療法も複合的になります。①何に対して②どれぐらいの期間③どんな薬・治療を施す方針なのか④その結果どこまで治ると期待されるのか⑤生活上の制限は何なのか、理解できるまで尋ねましょう。わかったふりは禁物です。

3、生活上の注意事項をチェック。

 「医者にバレなきゃいいんだ」などと言いながら酒を飲んでいる人を見かけますが、医師が生活を制限するのは、その人に善かれと思ってのことで、悪気があるわけではありません。制限に納得いかなかったり、「どうしても深夜に働かなければならない」など制限を守れない事情があるなら、必ず相談して代替案を出してもらいましょう。事情も伝えずにコッソリ治療方針を破ると、後で医師が誤診する原因になります。

4、納得したなら、あとは実行あるのみ。

 治療方針を本当に理解して納得しましたか? 納得したならば、あとは実行あるのみです。治療方針には、普通ある程度のゆとりがあるので守れるはずです。でも、わかったふりをして自分で勝手に治療法をアレンジすると台無しです。病状が悪化したら損をするのは結局あなた。せっかく時間とお金をかけて専門家に相談したのですから、実行しなければ、もったいないですよ。

急用があるなら、無理に座り続けなくても大丈夫。  忙しい人にとって病院は時間がかかり過ぎかもしれません。でも、待ち時間中に何か急用ができたなら、受付の人に断って席を外して構わないんですよ。少し順番を飛ばされるかもしれませんが、一切が終わるまで待っているよりは、だいぶ気も楽なはずです。戻ってきた時に「戻りました」と伝えるのを忘れないように。院外処方の病院なら、薬の受け取りを後日に回したり、家人にお願いしたりすることで、少し時間を稼げますね。
「マイ診療ノート」で、医療費や薬の履歴を管理。 薬の履歴と医療費を一度に管理でき、確定申告で医療費控除を受ける時にも役立つノートを作ってみませんか。時系列に診療費、薬代、交通費を書き込み、領収書も忘れずに貼り付けておきます。なお、病院までのタクシー代が控除される場合もあるので、その領収書も忘れずに。

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