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今こそ本当の「漢方」が知りたい
漢方医学とは、5~6世紀頃に中国から伝来した医学が、日本で独自の進化を遂げたものです。もともとルーツが同じなので誤解を招きがちですが、今は中国の伝統医学は「中医学」と呼ばれ、日本で江戸時代以降に発展した漢方とは理論や方法論などが違っているのです。
そもそも、実は「漢方」という言葉自体が日本語の造語。江戸時代になって、日本に伝わった西洋医学が「蘭方」と呼ばれるようになり、それ以前に日本で行われていた医療は、全部まとめて「漢方」と呼ばれるようになったのです。
では、漢方医学は西洋医学とどこが違うのでしょうか?
まず、両者は考え方が根本的に異なります。西洋医学が「かかった病気そのものをやっつける」という対症療法なのに対して、漢方は誰もが本来持っている自然治癒力を高めて、「体を正しい状態に整える」ことが基本なのです。
また、西洋医学では、一度下された診断と治療法は、病気が治癒しない限り変わりません。それに対して、漢方では経過によって診断も処方もどんどん変更されていきます。病気そのものより、その患者の"からだ全体の状態"を診る。これが、漢方医学の大きな特徴です。
漢方による治療は、注射も手術もなく、漢方薬の"処方学"とも言われます。現在では148種類の漢方薬に保険が適用され、7割以上の医師が何らかの形で漢方薬を処方していますが、漢方薬を使えば漢方医学かと言えば、そんなことはありません。次項で説明しますが、「証」という診断方法があってこその漢方、なのです。