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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

診療報酬 初歩の初歩

同じ病気や症状でも、医療費が違うのはなぜ?
 
 前項でも少し触れましたが、同じ症状や病気で診察や治療をしてもらっても、かかった医療機関の種類や時間帯などの理由によって、診療報酬の点数が違ってくる場合があります。当然ながら、患者の支払い額も変わってきます。
 その違いを具体的に示したのが、下の図表です。肩を脱臼した大人が、違う種類の医療機関に違う時間にかかった場合、まったく同じ治療を受けても(脱臼の程度もまったく同じとします)、積み上げられていく点数は大きく異なります。
 全国の医療機関で計算のために使われる診療報酬点数表はすべて同一です。そのため、自分が払う医療費もいつでもどこでも同じと誤解している方も少なくないと思いますが、点数表には「この種類の病院なら何点」とか、「この時間なら何点」というように、細かく条件を限定された項目もぎっしり詰まっているのです。
 そもそも、医療サービスにおける"基本料金"と言える初診料が、診療所は274点で、200床以上の病院なら252点と、たった19点(190円)ではありますが、それぞれ違う点数に決められていたりします。
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 なぜこんな違いがあるのでしょうか。
 それは、厚生労働省が診療報酬という"価格"の上下によって、日本の医療サービス供給の質と量をコントロールしているからです。
 例えば、ある医療サービスの底上げを図りたいと思った時、ごくシンプルな方法は診療報酬の点数をピンポイントで上げること。それによって、該当する医療現場のモチベーションと、医療サービスの質量の向上が期待できるという考え方です。
 でも、この方式は日本が伸び盛りだった時代には有効でしたが、医療費削減が急務の今、そう簡単にはいかなくなっています。限られた範囲の中で点数を上げ下げし、効率を追求せざるを得ない状況が、診療報酬をより複雑にしています。
 診療報酬の点数は、表面だけ見ると単なる細かい値段表ですが、その実態は医療サービスをコントロールする"設計図"だと言えます。新聞やテレビで盛んに報道される診療報酬関連ニュースの多くは、この"設計"の是非に関することなのです。

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