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今年こそサヨナラ 水虫さん
今度は医学的に水虫のことを見ていきましょう。医学の世界では、「足白癬」と「爪白癬」と呼ばれます。足白癬は次のような3タイプに分けられ、使うのに適した外用薬の形状が異なります。
①趾間型。最も多いタイプです。趾とは足指のことで、指と指のあいだがジュクジュクするものです。むず痒かったり痛痒かったりして、滲出液が出ることもあります。指の間の皮膚は薄いので、その傷口から細菌が入って感染症を起こすこともあります。
②小水疱型。足の裏の皮がめくれたり、小さな水疱ができたりします。夏に症状が出て、冬には自然に症状がなくなります。
③角化型。あまり多くありませんが、足の裏全体ガサガサに厚く固くなります。痒みがあまりなく、湿っぽくもないため水虫と気づかない人もいます。冬になると、あかぎれたりします。
これら3つは全くの別物というわけではなく、同じ人の足に混在することがよくあります。
足白癬をきちんと治さないままでいると、爪に白癬菌が感染することもよく起こります。これが爪白癬です。爪は実はケラチンの塊なのです。起きやすいのは親指で、先のほうから爪が黄色く濁ってきたり、厚くなったり、ぼろぼろともろくなったりします。痛みや痒みは、ほとんどありません。
と、水虫のタイプ分けを読んでくると、自分の足をしげしげと眺めて、「これは何とか型だな」と自己診断したくなると思うのですが、ちょっと待ってください。本気で治したいなら、必ず皮膚科医に見せて診断を確定させましょう。
実は外見が白癬とよく似ているものとして、異汗性湿疹とか、手のひらや足裏に小さな膿のできる掌蹠膿疱症とか、結構いろいろあります。
このため、外見だけで白癬と診断するのは、皮膚科医でも難しいのです。皮膚科医が診断を確定させるには、病変部の皮膚や爪を少し取って顕微鏡で見ます(直接鏡検と言います)。その後で、どの白癬菌なのか、菌を育ててみることもあります。
なぜ診断が大切になるかといえば、白癬と他の疾患とでは使う薬が全く異なるからです。湿疹や膿疱症に水虫の薬を使ってもよくならないどころか悪化させる危険がありますし、逆もまた真なり、です。
最初に診察を受ける際は、ありのままの状態を医師が見て爪や組織を削り取りやすいよう、マニキュア、ペディキュアをしないこと、爪を切らないこと、水疱をつぶさないこと、市販薬はしばらく塗らないこと、などを心がけてください。