文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

「高脂血症」あらため脂質異常症です。 よろしく。

どうやって治療するの?

 残念ながら「脂質異常症」に該当してしまった場合、まだ冠動脈疾患を起こしていないなら、それは不幸中の幸いです。75歳未満の方は、致命的な発作に見舞われる前に、治療に入りましょう。75歳以上の方については、治療のメリットがデメリットを上回るか結論が出ていないため、かかりつけの医師とよく相談しましょう。
22-1.3.JPG さて、治療と堅苦しく言いましたが、まずは毎度お馴染みの生活改善を医師の指導に従って行うことになります。
 もし喫煙をしている場合、それだけでリスクが何倍にもなり、管理目標も厳しくなります。何はともあれ禁煙しましょう。
 一般的には、前項でも説明したように普段食べすぎているはず。摂取カロリーを減らす必要があります。また、摂取する栄養素のバランスも気をつけましょう(表)。
 ここまでの第一段階を3カ月行っても血中の脂質量が目標値にならない場合、より厳密な第二段階へと進むことになります(表)。この際には油のバランスなどにも注意が必要になります(コラム参照)。
 それから次に運動です。ただし、既に脂質異常症の人の場合、冠動脈などの硬化が進んでいる可能性もあるため、いきなり動くと狭心症を誘発することがあります。ですから、必ず医療機関で血管の傷み具合をチェックしてもらい、そのうえで無理のないメニューを、毎日こなすようにしましょう。
 また、もしメタボリックシンドロームの診断基準に合致するぐらいウエスト回りが太くなっていたら、同時に痩せる努力も必要です。
 以上のような努力を3~6カ月続けても血中脂質量が目標に達するメドが立たない場合は、薬物治療を行うのが一般的です。
 薬は継続的に使用しても、それほど大きな副作用は多くありませんし、かなり容易にコレステロール値を下げることができます。ただし、動脈硬化性疾患を防ぐという本来の目標のためには、コレステロール値だけ見て生活改善をやめては意味がありません。
 血管を若く保つため、地道に毎日生活改善していただければと思います。そして、それが他の生活習慣病も遠ざけることになります。

あの食べ物、効果ある?  食事制限だけではつまらない。食べて効果があるものはないのか、と考えたくなるのが人情ですね。  脂質異常の改善と心血管疾患の予防効果がハッキリしているのは、魚類に多く含まれるEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸。どうせ食べるなら肉より魚、です。オリーブ油などに含まれる一価不飽和脂肪酸も適量なら効果ありです。  また大豆タンパクもLDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げる効果があります。  とかく注目を集める抗酸化物質はというと、ビタミンに関してはCもEも特に効果はなさそうです。緑茶ポリフェノールや赤ワインポリフェノールは、効果ありとの説もありますが、まだ十分には科学的に確かめられていません。
  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ