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控えようリン酸塩 摂ろうマグネシウム~【年間特集】血管を守る③

現代日本で生活していると、知らないうちに食品添加物からリンを摂り過ぎて、血中にCPPを発生させている可能性があります。一方、食材中のマグネシウムには、CPPの悪影響を緩和してくれる作用がありそうです。
 前回までで、血中のリン濃度が高いとリン酸カルシウムの結晶が析出、血中のタンパク質と結合してCPPとなり、そのCPPは病原体のように働いて、血管を石灰化したり、慢性炎症をひき起こしたりすることを説明しました。血中のリン濃度は、食事などから過剰に摂取すると上昇し、適正な値まで濃度を下げようと腎臓が働きますが、徐々に傷んで下げられなくなるという悪循環があることも説明しました。

 というわけで、リンの過剰摂取は、悪循環の出発点として要注意です。

何にでも入ってる

 ただ、リンを過剰摂取するな、と言われても、そもそも普段何からどれくらい摂取しているのか知らないし、気にしたこともない、という人が多いことでしょう。

 リンは、細胞膜を構成する成分で、遺伝情報を担うDNAやRNAの成分でもあります。つまり、あらゆる動植物の細胞に含まれており、ということは何を食べても入っているわけです。強いて言うなら、レバーなどの肉類、煮干しなどの魚、卵、牛乳やチーズを始めとする乳製品など、タンパク質を多く含む食品に多く含まれます。

 厚労省の平成25年「国民健康・栄養調査」では、成人男性はリンを1日に平均約1069mg、成人女性は平均約913mg摂取していて、「日本人の食事摂取基準」(2015年版)に示されている1日あたり目安量、成人男性1000㎎、成人女性800㎎を若干上回る程度です。

盲点の食品添加物

 これだけ見ると、リンの過剰摂取など気にする必要はなさそうなのですが、実はこの数字には食品添加物からの摂取量が含まれていません。

 しかも「食材に元々含まれるリンは、様々な物質と結び付いた形(有機リン)で存在しており、摂取しても消化・吸収しきれずに排泄される分がかなり多いのです。一方、食品添加物であるリン酸塩は、そうした結合のない無機リンで吸収されやすいのです」と自治医科大学抗加齢医学研究部の黒尾誠教授は注意を促します。食品添加物由来のリンは、血中濃度を上げやすいということになり、それを示すラットの実験もあります。

 となれば、食品添加物から、どの程度のリンを摂取しているのかは気になりますよね。ところが、これがよく分からないのです。

 現在の食品の原材料表示制度では、リン酸塩を使っていても「リン酸」の文字を書かないでよい場合があるのです。
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