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在宅医療を受ける方法
実は、患者が希望しても在宅移行できないことが珍しくありません。その理由は大きく2つあります。
1つ目は、患者も主治医も、どんな状態になったら在宅に移行することができるのか、十分にイメージできていないことです。だから、主治医も在宅医療のことをあまり教えてくれません。
念のため、在宅医療の対象になる人を下表に列挙します。驚くほど簡単な条件だとは思いませんか? 要するに急性期病院から退院するタイミングであれば、ほとんど移行可能なのです。
しかし、自力で生活できない人を家へ帰すのは医療者の責任放棄、次の療養先を探すべきだと信じている急性期病院の医師が少なくありません。実際、平均入院日数がどんどん短縮されて、患者さんがゆっくりできないことは確かですし、希望もしないのに無理やり家へ帰されたら困ります。
ただし、あなたが家へ帰りたいなら話は別です。主治医が転院を勧めてきたタイミングで退院を選択して家へ帰ることができるのです。病院なのか、施設なのか、自宅なのか、よりよい退院先を決めるための「退院支援」にも今年度から診療報酬がつくようになりました。
主治医が協力してさえくれれば、まず問題なく在宅移行できるはずです。しかし準備が足りずに主治医と揉めると、最悪の場合ケンカ別れになります。
主治医の協力を得るため特に大事なことは、あなたの希望を後押ししてくれる味方を早くつくることです。家族なのか、ソーシャルワーカーなのか、看護師なのか、在宅医なのか、ケアマネージャーなのか、状況によって千差万別です。だから、この5ステップは、あなたの周囲の状況に応じて順番を臨機応変に変えてください。
在宅医療の対象となる人
疾病や傷病によって通院困難な場合
進行がんの場合
認知症で徘徊が著しい場合
今は入院しているけど、家に帰りたいな、そう思った時の5ステップ1、相談相手を見つけましょう。
在宅医療を受け持つ「在宅療養支援診療所」が全国に約11000カ所あります。入院後の早い段階で、病院の地域医療連携室・窓口に連絡して、医療ソーシャルワーカー(MSW)に希望を伝え、相談に乗ってもらいましょう。
MSWのいない病院の場合は、近所で在宅医療を手掛けている医師に連絡して相談に乗ってもらう手もあります。心当たりがなければ、地域の社会保険事務局に問い合わせれば、在宅療養支援診療所のリストのコピーをもらえます。また、『在宅ケアをしてくれるお医者さんがわかる本』(同友館、2625円)という年鑑が毎年出ていますので、それで探す手もあります。
すでに介護保険を使っている場合は担当ケアマネージャーが相談に乗ってくれることもあります。
2、家族と十分に話し合いましょう
家族で過ごすには、こんなことの役割分担も考えておく必要があります。
・医療行為の介助
・排泄の介助
・入浴など身体清浄の介助
・食事の支度・介助
・洗濯
・着替え介助
・掃除
・買い物
3、介護保険を申請しましょう
MSWが相談に乗ってくれます。65歳以上か、40歳以上で認知症、脳血管疾患、末期がんなどの場合は受給可能です。申請すれば、すぐに使えます。
介護保険の適用にならない方も、介護保険と同じケアを受けられる「障害者自立支援法」があります。この場合は身障手帳を交付してもらう必要があり、1カ月ほどかかります。
2の行為をどの程度、家族以外の方に頼れるか決まります。保険で賄えない部分の費用をどうするのかも考えておきましょう。
4、主治医と話し合いましょう
スムーズな移行には主治医の協力が欠かせません。
5、「在宅医」「訪問看護ステーション」を探しましょう
1を参考にしてください。その他にも以下のような手があります。気心しれた「かかりつけ医」がいるなら相談してみましょう。
・居宅介護支援事務所に相談する。
・家族に頼んで市役所に問い合わせてもらう。
・ネットなどで検索する。
・主治医に相談する。