がん③ 緩和ケア、なぜ大切なのか
上手に痛みを伝えよう
痛みは採血などの検査では分かりませんので、自分から訴え出なければ医師に気づいてもらえません。主治医にどんどん遠慮なく伝え、対処してもらいましょう。
どこに、いつから、どんな時に、どのような強さで、どのような感じ方の痛みが、どれぐらいの時間持続するのか、痛み止めが効くのかなど、自覚症状に関する情報は、その原因や画像検査による原因の同定、さらに治療方針の決定などを探る重要な糸口になります。最小限、次の3点はメモなどに書いて外来診療の際などに伝えてください。
●痛みの部位
●痛みの強さ
●痛みの種類、感じ方
右表に痛みを伝える表現例を列記しました。さらに同時に伝えていただけると良い情報や、その表現の例もまとめてあります。気がついたときにノートやメモ帳に書き留めておいて下さい。
痛みの強さを表すには、いろいろな「スケール(ものさし)」が使われます。
右図は、痛みを数値化して患者と医療者の間で痛みに関する情報を共有するために使用されるスケールの一つ「NRS(Numeric Rating Scale)」です。
NRSでは、これ以上考えられない最悪の痛みを「10」、まったく痛みがない状態を「0」として、現在抱えている痛みの強さがどの程度なのかを評価・診断します。これだとごく弱い痛みも「1」と表せますし、例えば、「今は1ですが、昨夜寝る前はとても痛く、NRSで7の痛みだったので、痛み止めを飲んで寝ました。よく眠れて、起きた時には3まで軽くなっていました」などというように、痛みが出る時間帯や薬の効果も伝えやすいですよね。
ここで大切なことは、鎮痛薬を使用した前と後で痛みの強さがどう変わったかです。
この情報により、医療者は、現在使用している鎮痛薬が適正・適量なのか、または薬を変えたり、量を調整する必要があるのかなどを判断できるのです。
がん疼痛治療は患者と医療者の共同作業であり、両者が良いコミュニケーションを持てるか否かによって、円滑に治療が進行するか否かも決まってくると言えましょう。