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認知症を知る8 成年後見制度ご存じですか?


後見人に誰がなる?

 制度の仕組みが分かったら、最後は誰が後見するのか気になると思います。
 最高裁判所の集計によれば、2010年に選ばれた後見人の6割近くが「家族・親族」で、他に司法書士が15%強、弁護士が10%強、社会福祉士が10%弱と、これらの人だけで9割以上になります。家族・親族以外の後見人を「第三者後見人」と呼ぶことがあります。
 後見人の報酬は、家庭裁判所の審判で特に定められない場合は無償となります。しかし第三者が職業として後見人を引き受ける場合は、月に3〜5万円程度の報酬を本人の財産から支払うよう定められるのが一般的です。
 職業後見人に対して報酬が必要なことによって、家族や親族が本人の財産を侵害しているような場合で、しかも本人に一定の資力がない場合、有効な後見人を選べないという問題も起きます。
 今後、認知症の高齢者が激増し、後見人のニーズも劇的に高まると考えられていますが、①身寄りがなく家族を後見人とすることができない②家族が後見人にふさわしくない③職業後見人に報酬を払える資力がないという人も多くなると見込まれ、さらに④後見できる専門家が不足しているという根本的問題もあり、必要とする人全員が後見を受けられるか危ぶまれています。
 後見人がいないと、認知症で判断能力を失った人に医療や介護を提供することすら、法的には困難となります。

根付くか市民後見人

 このため2011年に信託契約を使う新たな仕組み(コラム参照)が導入されたのに続き、2012年には老人福祉法が改正され、市区町村は「市民後見人」を養成して活用・支援するよう努力義務が設けられました。
 「市民後見人」とは、国家資格は持たないけれど、成年後見に関する一定の知識や技術・態度を身につけており、社会貢献への意欲と倫理観の高い第三者後見人と、その候補者を指します。
 果たしてこれで制度がうまく機能するか、注目されているところです。
 加えて、書類作成や手続きの煩雑さなどが障害となって成年後見制度の利用が広がらないという現状もあります。
 これに対しては、自治体や社会福祉協議会、弁護士会、家裁などが随時、制度についての無料説明会を開いたりして制度の普及に努めています。
 成年後見制度についてもっと知りたいと思ったら、役所などに置かれるチラシや広報誌を参考に、近隣で開催される説明会へぜひ足を運んでみてください。

信託契約形式

 後見を受ける人の財産のうち、日常使う分は親族などの後見人が管理し、残りは信託銀行に信託するというものです。大きな支出が必要な場合は、後見人が家裁に申請してチェックを受けます。これによって職業後見人を選任するよりコストを下げることができ、かつ親族後見人による使い込みなども防げると期待されています。

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