歯が痛い どうして? ~年間シリーズ口から人生を豊かに③
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歯冠と歯根 構造が違う
歯の構造は、図のようになっています。
まず、外気や食物・唾液に直接触れる「歯冠」の部分と、歯肉の下で骨に埋まっている「歯根」の部分に大きく分けられます。
歯冠は、外側からエナメル質、象牙質、歯髄の3層構造になっていて、歯髄に血管や神経が通っています。
歯槽骨に埋まっている部分が「歯根」で、外側からセメント質、象牙質、歯髄の3層構造です。歯槽骨との間に歯根膜という薄い膜があります。
痛みを感じたということは、歯髄の部分に、触覚や冷覚などの刺激が届いたということを意味します。
冠の痛みは、むし歯
歯冠の場合、一番外側にあるエナメル質が健全ならば、歯髄まで刺激が届くということは、まず考えられません。
痛みが出たのは、エナメル質に穴が開いた、つまりむし歯の可能性が高いです。歯の表面が割れたとか欠けたとかいうことも考えられますが、対処法はむし歯と同じです。
食事やプラークが作り出す酸によって、歯の表面から骨の成分であるリン酸カルシウムが抜け出る「脱灰」と呼ばれる現象があります。唾液によって酸が中和され、再び歯にリン酸カルシウムが戻る「再石灰化」とバランスが保てていればよいのですが、脱灰の方が強過ぎると、どんどん歯が弱くなっていきます。この現象が、むし歯です。
エナメル質に穴が開いたけれど、象牙質までは到達していないというのが歯科で言うところのC1で、時々冷たいものがしみるかなという程度です。この段階で治療すれば軽く済みます。
エナメル質に完全な穴が開いて象牙質まで侵され始めているのがC2。頻繁に痛みを感じるようになります。象牙質は柔らかいため、ここから先は進行が早くなります。一刻も早い治療が必要です。
象牙質も貫通して歯髄まで侵されるようになったのがC3。四六時中痛みを感じるようになるので、さすがに放置する人は少ないでしょうけれど、できればこうなる前に歯科へ行きたいところです。
もっと進行したC4は歯髄が死んでしまった状態です。
(コラム)痛くなくても、むし歯
ちなみに、エナメル質が弱くなっているけれど穴までは開いていない段階を初期むし歯(歯科用語ではC0)と呼びます。少し白濁して見えるので、専門家が見れば分かりますが、素人に判別するのは困難です。痛みはありませんし、この段階までなら、生活改善してお手入れをきちんとすることで、健全な状態まで戻すことができます。