中村利仁の社会の中の医療

バナナについて

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2008年10月07日 22:27

 自分は子供の頃からバナナが大好きです。しかしながら、学者、医者の端くれとして申し上げられることは、以下の2点だけです。

1.いわゆる朝バナナダイエットの効果についての大規模な無作為化比較試験(RCT)の研究論文は、今のところ見当たりません。従って、いわゆる朝バナナダイエットが有効だと断言する根拠はないと考えます。RCTが実行可能な領域であり、早急な検証が待たれます。

2.バナナは様々な美点のある美味しい果物ですが、糖尿病を患っていらっしゃる場合など、一度に大量に食べることが推奨できない方々がいらっしゃいます。たとえば高血糖に至って糖尿病性昏睡等に陥る危険すらあり、いわゆる朝バナナダイエットを行うかどうか、また行うとしても一度に食べる本数などについては、予め主治医の先生とご相談される必要があると考えます。

…以上です。

医療事故調 第3次試案へのパブコメ

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2008年06月08日 03:10

 わざわざ厚労省のホームページからダウンロードしたパブコメをOCRで文字起こししてブログに掲載してくださっている方がいらっしゃいます。「僻地の産科医」先生です。

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JMM 読者投稿編:Q:910への読者からの回答

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2008年05月19日 23:45

                              2008年5月13日発行
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JMM [Japan Mail Media]                  No.479 Extra-Edition
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■ 読者投稿編:Q:910への読者からの回答
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【Q:910】

 4月から「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」が始まり、いろいろな混乱が起
こっているようです。後期高齢者医療制度ですが、高齢化社会の医療制度として、合
理的なものだと言えるのでしょうか。

                                  村上龍
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 ■読者投稿:中村利仁


 制度立ち上げ時の事務作業の拙劣さが報道され、すっかり悪評が定着した後期高齢
者医療制度ですが、制度本体の問題点を検討する報道は未だあまり多くありません。

 ところが、この制度の合理性を巡る議論は2年前に既に終わったはずの話です。専
門家の間でということであれば、さらにそのちょっと前に終わっています。国会内で
の取り引きや審議も為されました。それなのに特に与党代議士の過半が、ただ小泉改
革の勢いに引っ張られたというだけでなく、本当にどういう内容なのかを全く理解し
ていなかったらしいということが報道されるにつけ、報道内容を疑うと同時に、もし
本当だとしたらどう考えればいいのか、ちょっと途方に暮れている気持ちがあります。

 後期高齢者医療制度自体は、それなりの目的と合理性を持ちます。正確に言えば合
理的と言いうる立場というものがある、ということになるかと思います。

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JMM 読者投稿編:Q:901への読者からの回答

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2008年03月17日 21:24

                              2008年3月11日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.470 Extra-Edition3

【Q:901】

 経済合理性の観点から考えて、医療費を上げずに、地域医療の疲弊と崩壊を防ぐ方
法というのはあるのでしょうか。

                                  村上龍
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 ■読者投稿:中村利仁


 御質問は、医療への支出を現状に抑えるか、あるいはむしろ削減することによって、
一般的な医療サービスの供給がニーズに対して充分な水準にあるように維持する経済
合理性な方法があるか否かということになるだろうと思います。

 回答としては、可能性はあるが有効性が証明された方法はあまり多くない、という
事になるだろうと思います。

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愉快犯

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2008年02月10日 11:43

 地域医療の崩壊が各地で進んでいますが、これをネット上の掲示板やコメント欄で積極的にあおり立てて楽しんでいる一群がいるようです。

 悪質です。地域住民にとっては死活問題ですのに。

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JMM読者投稿:「医療格差」の解決に必要な考え方とは?

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2007年06月29日 18:45

====質問:村上龍============================================================

Q:816
 参院選の各党のマニュフェストには、「医療格差」への取り組みが盛り込まれるようです。医師・看護師の不足、公立病院の閉鎖など医療における地域格差の解決には、どのような考え方が必要なのでしょうか。

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■ 読者投稿編:「医療格差」の解決に必要な考え方とは?

 ■ 読者投稿:中村利仁

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JMM読者投稿「医療の産業化」について

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2006年10月13日 19:25

====質問:村上龍============================================================

Q:732
 10月1日付の読売新聞は、ある東大教授の「医療の産業化」をテーマにした小論を掲載していました。財政負担が軽く、かつ経済格差を生じない医療の産業化というものがこの社会に存在するのでしょうか?

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 ■読者投稿:中村利仁

 以下、医療政策・医療経済の研究者の間では常識に類するところからお話をさせていただきます。

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助産師は足りているか?

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2006年08月31日 12:47

 まず、人口動態統計から、出生場所の推移をグラフ化した。

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医療サービスにとって医療費とは何か

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2006年07月28日 18:43

 サービス業の特徴には、共通して、非貯蔵性、不可逆性などが上げられます。医療サービスも例外ではありません。

 医療サービスは医療者と患者さんとの間で生産されると同時に消費されます。予めヒマなときにサービスを作って貯めておくことはできません。また、一度提供した医療サービスを、患者さんから取り返すことも不可能です。景気循環の元となると言われる不良在庫は、サービス業の世界では存在しえないのです。

 であれば、一国の経済のようにある程度閉鎖された系では、医療に限らず、充分なサービス提供者がいて、サービスを必要とする人がいるのであれば、外部不経済のない限り、これを制限することには経済的合理性がありません。そして、医療サービスに希少資源が移動しても、ほとんど外部不経済は生じないことが予想できます。

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医療は水に浮かぶ船か?

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2006年07月10日 15:21

 こんにちは。
 外科医出身の研究者の中村です。医療政策、医療経済、医業経営を専攻しています。

 最近、医療というのは社会という水に浮かぶ船のようなものかと考えています。

 いくらよい医療体制を作ろうと思っても、水に船を浮かべる余力がなければうまく行きません。あまりに海が荒れてしまえば、船は木の葉の如く沈んでいきます。また、医療という船がいくら良いものでも、神ならぬ身の人間が作り出す以上、どこか欠けたものとなることは避けられません。沈まぬ船は望むべくもありませんから、これをどう上手に漕いでいくかが国民や政策立案者に問われています。

 船に乗り込んだ医者、看護師をはじめとした医療者、事務員や経営者、あるいは政治家や官僚にとっては、効率のためにはできるだけ多くの患者さんを運びたいところですが、あまりに積みすぎれば船は容易にひっくり返ることとなります。天候や海の荒れ具合を見ながら、適切な喫水を塩梅して船出する必要があります。

 自分の仕事は、船の周りをぐるぐると回りながら、船が沈みかけていないか、あるいはあまりにも積み荷が少なくないかを観察するようなものかも知れません。

 よろしくお願いします。